岐阜

若者の姿なし…まずい大学生が見た選挙戦

2015年4月5日

 県議選初日の三日、県内の大学生三人が候補者たちの論戦を聞いた。二十〜三十代の低投票率が常態化し、選挙権年齢の十八歳以上への引き下げも検討される中で、政治経験の少ない二十代前半の若者に地方議員の選挙はどう映ったのか。 

 午前九時すぎ、岐阜市内のある選挙事務所で、朝日大法学部四年の林泉希(みずき)さん(21)と平野滉大(こうだい)さん(22)が、出陣式に集まる支援者の輪に入った。生まれて初めての経験だ。

 「お年寄りばかりだ」と平野さん。百人の聴衆のうち八〜九割が六十代より上に見えた。候補者を知っている人たちの内輪の集まりとも感じた。「一見(いちげん)の学生が立ち寄る雰囲気ではないですね」

 男性候補の決意表明を聞いた林さんは「声が大きくて、すごいパワー」。でも、不満も。「『地域のために頑張ります』とか『お願いします』という話ばかり。もっと具体的な政策を語ってほしい」と残念そうだ。

 別の男性候補の出陣式に移る。岐阜県内で就職活動中の平野さんは、道路網などインフラ整備を訴える候補の言葉に好感を抱いた。この県議選でも経済の論戦が気になる。「一時的なばらまきより、将来を見すえた政策がいい。若者に残せるものを考えてくれたら」と希望を語る。

 この日、定数九の岐阜市選挙区で四候補の演説を聴いた林さん。「立候補した十二人全員の生の声を聞かないと、一人に投票するのは難しいな」と実感した。大学では、学生に投票を呼び掛ける「こぞって投票にいこまいプロジェクト」の代表を務めている。「学生は誰に投票すればいいのか分からない。候補者がそろう討論会を身近に聞けたら、もっと投票しやすくなるかも」

 夕方、羽島市の選挙事務所を訪ねたのは、岐阜大地域科学部三年の舟橋皓希(こうき)さん(20)。午後五時に立候補の届け出が締め切られ、定数一の羽島市選挙区は無投票当選が決まった。

 万歳三唱などを見届けた舟橋さんは「何も議論されないまま終わってしまった。これは喜ぶことなんですか」と疑問を感じた。

 この選挙事務所も、若者の姿はほとんどなかった。「これではまずい」と舟橋さん。自戒を込めて、言葉を強めた。「選挙は地域の未来を左右する。若い人が関わらないのは、絶対にマイナスですね」

(大島康介)