岐阜

<県議選>自民党

2015年3月14日

衆院解散への反対を決議した自民党県連の常任総務会。統一選への布石でもあった=昨年11月、岐阜市の自民県連で

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 「また、やらなあかんかな」

 安倍晋三政権が掲げる農協改革の議論が大詰めを迎えた一月下旬、自民党県連の一部の幹部は対応策を練っていた。農協は、県連にとって大切な支援団体。一方的な改革を強制しないよう安倍政権に求める意見書案を立案し、県議会での可決を想定した。ただ、党と全国農業協同組合中央会(JA全中)が改革案を合意。意見書案の提案は見送られた。

 この一年、自民県連はたびたび安倍政権に反旗をひるがえした。昨年六月には、憲法解釈の見直しによる集団的自衛権の行使容認と、農協改革について慎重な検討を求める意見書案を県議会で可決。十一月には、突然の衆院解散による総選挙に反対する決議を採択した。

 「支援者の不満に応えるために、党の中央と地方組織は違うと示したかった」とはベテラン県議。安倍政権の強引さが、県連への逆風につながらないようにする戦略は、統一地方選をにらんでのものだった。

 今県議選(定数四六)、自民は三十二人を公認、無所属一人を推薦。全二十七選挙区で議席を獲得し、現有の三〇議席から上積みを狙う。ただ、想定外の事態が足元で起きた。自民系の市議、町議が無所属に転じて出馬するケースが続発。瑞浪市や山県市、不破郡など七選挙区が「自民系対決」になっており、他にも同じ構図になりそうな選挙区がある。

 その背景について、無所属で立候補予定の自民系新人は「世代交代が進んでいないことが一因」と口にする。自民が公認、推薦した三十三人のうち二十八人が現職。四人は既に県議を二十年以上務めている。自民王国を築いた一部のベテランが依然として主導権を握り続けているが、「求心力が弱まりつつある」と指摘する。

 県連は、組織の引き締めに躍起だ。揖斐郡選挙区では、自民系の対立候補への支援に動いた郡支部の幹部五人に離党勧告を出した。猫田孝幹事長は「前例のない厳しい対応。厳格な姿勢で結束を図っていく」と強調する。

 県議選の告示まで、あと二十日。他の政党を圧倒する数の立候補予定者を擁立しながらも、身内への対処に追われる状況に、別の県連幹部は苦々しい表情でつぶやく。「岐阜の自民は過渡期に入っているのだろう」

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 四月の統一地方選が迫ってきた。三日告示、十二日投開票の県議選には、これまでに六十五人が正式に立候補を表明。二十六日には、各市町村で首長選や議員選が行われる。有権者の審判を前にした、各政党の動きや思惑を県議選を中心に紹介する。

 (統一地方選取材班)