岐阜

<地方創生 私なら>(3)ものまねタレント・清水ミチコさんの提言

2015年3月5日

清水ミチコさん

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 高校三年まで高山市で過ごしました。高山は今、観光客であふれていますが、成功できたのは、自分の町にあるものと、住む人の特長を生かしてきたからだと思います。高山の人は手先が器用だけど、照れ屋さんなところがある。だから一位一刀彫のような寡黙な職人技が光るんです。

 良い意味でこびない頑固さも感じます。例えば、名古屋市に近いから似たような町づくりをするというのは簡単。でも、独自の文化を大切にするほうが人を引きつける。芸能人でも、周りにこびる人は一時的には人気があっても長続きしません。こびずに自分の色を持ち続けている人ほど、人気が続いていくものです。

 今、ニュースで盛んに「地方創生」という言葉を聞きます。でも、具体的に何をしたら良いのか、分かりづらいですよね。

 まずはできることから、まねしたっていいと思うんです。ゆるキャラなんか、その良い例じゃないですか。

 私の場合、ものまねするときはあまり練習に時間をかけず、ざっくりとやっています。一生懸命やりすぎると苦しくなるから。しんどくなりすぎないよう、無責任なくらいの気持ちが、ちょうどいい。

 ただ、まねに終始してしまってはいけません。何かひと工夫がいる。例えば、洋菓子店で野菜のケーキがはやっているのなら、そこに地域の野菜を使うとか。

 私もコンサートではものまねだけでなく、ピアノを弾くとか、お客さんを飽きさせない工夫を凝らしています。まねするだけでなく、自分の色を足していくのです。

 併せて普段から気をつけているのが、お客さんのニーズに応えること。ねたはあらかじめ決め打ちしないで、その場の空気に合わせて臨機応変に変えています。

 地方創生も、大事なことは一緒じゃないかな。求められているのは、こびたり、ただまねたりするのではなく、お客さんの求めているものを探りながら、地元らしさを出していくことでは。

 (鈴木凜平)

 しみず・みちこ 1960年生まれ。高山市出身。ラジオ番組の構成作家をへて、87年にフジテレビ系「笑っていいとも!」で全国デビュー。ものまね以外に、歌手、女優、コメンテーターの顔も持つ。東京都在住。