岐阜

<地方創生 私なら>(1)ニュースキャスター・村尾信尚さんの提言

2015年3月3日

村尾信尚さん

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 国内でいろいろなところに出掛けますが、都市と地方の格差は広がる一方です。都市が潤えば地方に波及するという考えもありますが、地方の厳しい現状を見ていると間に合いません。そのぐらい人影が少なくて、活気がない。

 地方が元気になるかどうかの肝は、外交政策にかかっていると思います。いかに東アジアや東南アジアの国々と、仲良くやっていけるか。国レベルだけでなく、地方でもできることがあります。そのためには地方の首長や議員が、もっと国際的な視野を持たなければならない。

 日本の人口は、推計でこれから一年に八十万人ずつ減っていきます。今は世界の人口の1・8%ですが、今後、その割合はどんどん少なくなります。国内で減っていくパイの奪い合いをしていても先はありません。

 隣の中国に目を向ければ、人口は日本の十倍で、実質国内総生産(GDP)は三倍。こんなに魅力的で巨大なマーケットから、目を背ける必要はまったくありません。

 国任せでなく、地方の首長が姉妹都市など海外の人脈を生かして、トップセールスに打って出るべきでしょう。各国の駐日大使館に地元の特産品を持ち込んで、パーティーを開くなんてことであれば、すぐにできるはずです。

 僕の故郷の高山市は、海外からの観光客がたくさん来ています。口コミの相乗効果だと。外国人が来ると治安が悪くなると主張する人もいるけれど、それはそれで議論すればいいんじゃないでしょうか。

 例えば、県の教育目標に「全員が英語で日常会話ができる」と打ち出してもよい。自治体が三年間は留学費用を出すという政策も、極論だけどありでしょう。地方創生の名目で商品券を配ったところで、持続可能ではありません。英語教育を徹底した方が、はるかにビジネスチャンスが広がります。

 地方自治体が海外戦略を高め合う関係になるためにも、まずは地方の首長や議員の国際感覚が問われています。今回の統一地方選がその契機になれば面白い。

 (大島康介)

    ◇

 統一地方選の口火を切る県議選の告示まで残り一カ月となった。「消滅可能性都市」といったセンセーショナルな言葉が飛び交い、人口減少時代を迎えた中での選挙だ。国は「地方創生」の金看板を掲げるが、古里の具体的な将来像は今のところ見えてこない。地域を元気にする手掛かりはどこにあるのか。地方自治のあしたを占う統一地方選を前に、まずは各界で活躍する県出身者の提言をヒントに考えたい。

 むらお・のぶたか 1955年、高山市生まれ。大蔵省(現・財務省)に入省後、三重県総務局長、大蔵省主計局主計官などを務め、2002年に財務省を退職。翌年、三重県知事選に出馬し落選。現在は関西学院大教授。日本テレビ系「NEWS ZERO」のメーンキャスターでもおなじみ。東京都在住。