愛知

<激戦の現場>(4)豊明市長選

2015年4月24日

◆市政混乱、収束の道は?

石川 英明 61 無現<1>

伊藤  清 46 無新

小浮 正典 46 無新

        =届け出順

 「四年前、当選させていただいたのは、市民の良識と勇気。実りが見えてきた。あきらめるわけにはいかない」。石川は十九日の出陣式で支持者を前に語気を強めた。

 ベッドタウンとして発展した豊明市だが、人口が増加する周辺市町と比べ、企業誘致は進まず、税収の不安定さや働き盛りの世代の流出など閉塞(へいそく)感が漂う。

 石川は前回市長選で「しがらみのない市民派」として市長給与半減や市民税減税を掲げて初当選。市政改革に着手したが、市議会の保守系会派との対立で、いくつもの肝いりの事業が頓挫した。相次ぐ市政の混乱に市民の批判は石川と議会双方に向けられた。

 「ケンカがしたいんじゃない ただ豊明を強く豊かにしたい」と、石川は選挙カーの側面に貼り、「ここであきらめれば、元の豊明にもどってしまう」と改革断行を訴える。

 その石川を支えてきたのが、県内初の公募の副市長として二〇一二年八月に就任した小浮だった。大阪市出身で新聞記者やイオン広報マンなど多彩な経歴を持つ小浮は、石川と市議会との間で調整役を担った。だが、二年半の在職中、市議会や市職員に対する説明や対話が不十分では、と石川の姿勢に疑問を持つようになり、「次の四年を支えることは市民に向けてできない」と退職した。選挙戦では保守系市議らの多数が支援し、後援会長は前副市長が担う。

 「現状を打破してほしいと多くの応援をいただいた。市職員と議論を重ね、市の課題は熟知している。停滞した状態から飛躍へ導く」と熱を込める。

 伊藤は、石川と対立してきた会派に所属していたが、同僚議員には支援をあえて求めずに出馬。出陣式では「市政の混乱の半分は議員の責任だと思っている」と率直に認めた上で「しっかり豊明を立て直す。私たちの世代がどういったまちをつくっていくか。それが今の子どもたちの生活に直接影響を与えていく」と判断を迫る。

 選挙戦では市議としての二十年の経験や地元出身としての人脈の蓄積を強調。「二年半住んだだけで豊明のことがどれだけ分かるのか」と、市外出身の小浮との違いを強調し、反石川票の取り込みを図る。

 (敬称略)

 =終わり