愛知

<激戦の現場>(2)田原市長選 

2015年4月22日

◆鈴木市政、継承か転換か

岡本 重明 54 無新

山下 政良 66 無新

北野谷一樹 53 無新

 =届け出順

 十九日の北野谷の出陣式。自民党の衆院議員や県議、市議らが顔をそろえる中、いの一番にマイクを握ったのは田原市長の鈴木克幸(70)だった。

 「今後の渥美半島は大きな事業ばかり。官僚、県職員、経済界と対等に議論ができると確信している」と北野谷を持ち上げた。

 三選不出馬にあたり、鈴木は元市議の北野谷を後継指名した。民間出身の岡本、元市職員の山下は、鈴木市政の継承を批判する。

 全国屈指の農業生産地・田原。比較的余裕のある農業者が多く、自民支持は根強い。地元JAは事実上、北野谷を支援し、連合愛知は推薦を出した。北野谷陣営は、組織戦の様相を呈する。

 その北野谷陣営を意識してか、「完全無所属」を強調する岡本。出陣式では舌鋒(ぜっぽう)鋭く、かみついた。「菅官房長官、石破地方創生大臣と仕事したが、国が旗を振っても、地方創生はできない。なぜか。大きな組織や利権、しがらみが地方を食い物にしているからだ」

 農業生産法人の社長。農業の規制緩和、競争力強化を持論とする。安倍政権が兵庫県養父(やぶ)市で進める「国家戦略特区」に参画し、田原市にも「農業経済特区」の導入を、と掲げた。

 選挙戦を「地方自民と中央政府の対決だ」と位置付ける。二十日には、養父市長も応援に駆けつけた。

 二人に割って入るのが、市教育部長などを歴任した山下。出発式では「医療、雇用、福祉、環境、商業、工業、農業、漁業、観光、教育…数え切れないほどの問題が山積している」と列挙した。

 市政の停滞ぶりを語り、「鈴木市政の八年で何か変わりましたか」とも。鈴木市長が任期満了の間際に提案した「副市長二人制」を引き合いに出し、「副市長は二人もいらない。市長がもっと働けばいい」と訴える。

 自動車専用道路の整備を公約し、「自分が市長の時は完成しないだろうが、渥美半島を縦貫する高規格道路の建設に道筋をつける」と気迫をみなぎらせる。

 (敬称略)