愛知

江南市長選、出陣式熱く

2015年4月21日

 二十六日に投開票される江南市長選は、元市議の沢田和延さん(60)と四選を目指す現職堀元さん(69)の一騎打ちとなった。舌戦がスタートしたのは十九日午前十一時。両陣営は同じ時間帯に出陣式を開いた。どちらの陣営で誰が何を語ったのか。「保守分裂」の激戦が幕を開けた。

◆沢田陣営「市を変える」

 「江南市を変える」。沢田さんの出陣式で、選対幹部や来賓たちは何度もそう訴えた。中心になるのは市議会保守系会派「江政クラブ」の議員たち。この日告示された市議選の現職と新人合わせて七人の候補が顔をそろえた。

 江政クラブの会長は壇上で「市政は停滞していて、また同じ人に任せたらもっと悪くなる。沢田市長を誕生させて、明るく住みやすく活力のある江南市を取り戻さなければいけない」と力を込めた。

◆堀陣営は「パイプ」強調

 一方の堀陣営で目立ったのは「パイプ」という言葉。自民党の江崎鉄磨衆院議員(愛知10区)は「市と県と国のしっかりしたパイプで、地方創生に取り組む」と語り、奥村悠二県議は「堀市長を誕生させないとパイプがねじれてしまう」と述べた。

 民主党の安井美沙子参院議員(愛知選挙区)も登壇し、「党派を超えて堀市長の再選を願っている」。近隣市町の首長も七人が駆けつけ、市議選候補者も十二人が集まった。

 こんな二人の戦いに、両にらみの対応をする人も。広域ごみ処理場建設に一緒に取り組む犬山市は、山田拓郎市長と副市長が二つの陣営に分かれて出席。山田市長は「何としても堀市長に勝ち抜いてもらってごみ処理場問題を一緒に解決していく」と述べた半面、副市長も「ごみ処理施設の解決は、沢田さんならばできると信じている」と語った。

 大村秀章知事からの祝電は両陣営に届いた。どちらの陣営にも出席しなかった保守系の市議候補もいた。

(江南市長選取材班)

<陣営あれこれ>

 ◇雨こそチャンス 春の嵐に見舞われた二十日、一宮市中心部の交差点。雨と強風にあおられながら、市議選の新人の男性候補がたった一人、マイクを握って訴えていた。

 選挙カーはなく、のぼり旗を立てた自転車で市内を回り、街頭演説をしているとのこと。この日は見知らぬ女性二人が近寄ってきて「票入れるわ。がんばって」と声を掛けてきたとか。

 「雨こそチャンスなんです」と男性はにっこり。「新人だし地盤もないから、街頭活動が大事。しかも他の人がやらないことをしないとね」

 ◇千客万来? いえ選挙活動中 コンビニ店を経営する津島市議選の新人は、自らの店の駐車場の一角に選挙カーを止めて運動員と立ちつつ、来店客や店の前を行き交う車に手を振り続ける。

 朝、昼、夕と、毎日合計四時間ほどは店の前に立ちっぱなし。さすがにコンビニ店とあって、ドライバーの目につき、他陣営の選挙カーもよく通る。

 選挙運動のにぎやかさで、お店の方も繁盛? 寸暇を惜しんで手を振る本人は「初めての選挙なので、とにかく顔と名前を覚えてほしいだけ」。お店はそっちのけの状態という。