愛知

市長の仕事見えますか予算編成が最重要業務

2015年4月19日

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 十九日告示の統一地方選後半戦で、尾張東部地方では、瀬戸、豊明市で市長選が行われる。市長といえば、市の代表者であり、市の顔ともいえる公職だが、具体的にどんな仕事をしているのかや待遇などは知らない人が多いかもしれない。市長の仕事や権限、議会との関係などについてあらためて考えてみた。

 地方自治法によると、市町村長の任期は都道府県知事と同じ四年で、特別職地方公務員と位置付けられる。二十五歳以上の日本人なら市外に住んでいても立候補できる。

 学校や下水道、道路、河川などの整備や、消防活動、保健や福祉事業といった自治体の幅広い行政事務を統括するほか、条例の制定や改廃、課税や税金の徴収、公共施設の設置や管理などの権限が与えられている。

 愛知学院大の森正教授(政治学)は「最も大事な仕事は予算の編成と執行」と話す。年度ごとの行政運営に関し、自治体が自由に使途を決められる経費「一般会計」は、二〇一五年度の総額は瀬戸市が三百四十九億二千万円、豊明市は百八十九億一千二百万円。市長は膨大な税金を動かしており、森教授は「予算編成はまちづくりと直結する」と解説する。

 地方自治は「議会」と「首長」の二元代表制であるといわれており、議会は立法機関として、首長は行政機関としての権限が与えられている。市長が提出する議案には議会の承認が必要であり、議会は市長に対し不信任決議をすることも可能。互いの独走を防ぐ仕組みが用意されている。

 しかし、地方議会では一般的に、市側が提出した議案を原案通り可決する傾向が強く、市長と議会が正面から対立し、議案を否決する例は実は少ない。森教授も「実態としては首長の方が権限が強い」と指摘する。まちづくりの実権を握っているのは市長といえそうだ。

 そのほか、市を代表しての式典や行事などでのあいさつ、市内外からの来客対応、各種集会への出席なども重要な仕事。特別職の市長には勤務時間や休暇の定めがなく、瀬戸市役所の田口浩一秘書室長は「基本的に休みはほとんどない。災害の時には休日であろうと夜間だろうと対応するし、イベントがあれば顔を出す」と話す。

 「給与」は仕事全体を考えて条例で額が決められており、尾張東部では瀬戸市が月額九十八万八千円と最も高く、豊明市が月額四十九万二千五百円と最も低い。サラリーマンのボーナスに当たる「期末手当」は、年間でそれぞれの月額の二・八〜三・五月分ほどと各自治体で定められている。

 (統一地方選取材班)