愛知

投票率最低、組織が左右椙山大・木田講師と振り返る

2015年4月14日

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 名古屋市議選は、主要党派がそれぞれ議席を拡大、維持し、改選前より拮抗(きっこう)する結果となった。踏みとどまった減税日本に、攻勢を強めるとみられる自民や民主。倍増した共産の動向も注目される。選挙結果が今後の河村たかし市長の市政運営にどう影響するのか。名古屋市政を研究する椙山女学園大講師(政治社会学)の木田勇輔さん(30)に聞いた。

 −減税は、前回の二十八人から大きく減った

 四年前の市議選で「過半数を狙う」という目標に無理があった。世襲議員はいなかったが、資質を問わずに候補を擁立した。議員には本来、専門性と市民感覚が求められるが、活動が公金に支えられているという意識が希薄な人もいた。

 今回、そうした人が再選を目指しても支持は得られなかった。減税は改選前から一議席増やし、どうにか踏みとどまったが、それも市長人気によるところが大きい。候補は、市長とのパイプの太さを訴えるだけだった。

木田勇輔さん

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 −自民、民主も復調。共産が躍進した

 投票率が極めて低くなり、組織票を固めた候補が浮かび上がった。元減税の議員が落選し、結果的に自民、民主、公明が議席の三分の二を占めた。各党とも、以前より支持層を大きく広げたわけではない。

 −36・57%と過去最低の投票率をどうみる

 四年前と比べ、争点がなさすぎた。各党は、河村市長の理念にどう対抗するのか、個別の施策では連携するのか。対抗するなら、対立軸を明確にすべきだった。

 市議会は一九八一年以降、オール与党体制が続き、市民には「手の届かないところで政治が動いている」との感覚。「庶民VS特権層」を掲げた河村市長の誕生で、若年層から女性まで当初は幅広い支持を集めた。

 だが、市長が率いる減税日本で不祥事が続いた。前回、減税に一票を投じた多くの人が、今回は棄権したり、他党に投票したのだろう。

 −今後の注目点は

 二年後の市長選を見据えた候補者調整など、議会多数派の駆け引きが活発になるのではないか。少数与党に支えられる市長は、議会と合意できそうな名古屋駅地区の開発や観光振興などから手を付け、対立する争点は避けようとするだろう。

 (聞き手・丸田稔之)