愛知

減税、前回からは大幅減名古屋市議選

2015年4月13日

名古屋市議選に当選した佐藤夕子さん(右)を笑顔で迎える減税日本の河村たかし代表=13日未明、名古屋市東区で

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 「庶民革命」を唱える河村たかし市長が「旋風」を吹かせ、既成政党を圧倒した四年前。それから、攻守一変して迎えた名古屋市議選(定数七五)で、市長が代表を務める「減税日本」は十二議席を獲得。前回の二十八議席から大きく減らしたものの、改選前からは一議席増やし、土俵際で踏みとどまった。

 「逆風の中での戦いだったが、『庶民革命を止めないで』という皆さんの思いをいただいた」

 河村市長の自宅兼事務所があるお膝元、東区選挙区(定数二)で、初当選を決めた佐藤夕子さん(52)。元衆院議員で、党の「切り札」として民主候補らを退けた。午後九時五十分すぎに同区の事務所に現れ、安堵(あんど)の表情。「大きな組織に対し、素人集団が勝ったことこそが、庶民革命」。支持者と固く握手し、市長の思いを代弁した。

 二〇一一年の前回選で、第一党に躍り出た減税日本。だが、所属議員による政務調査費(現在は政務活動費)の不正受給などの不祥事が相次いだ。考え方の違いから離党する議員も多く、改選までに十一人が残っただけ。市長肝いり施策でさえ、自民や民主が多数派を占める議会で、思うようには進まない。

 追い詰められた今回、擁立したのは十八人。「河村市長を助ける男、女」。候補たちは、そんなキャッチフレーズをポスターに使い、演説でも口にした。市民税減税や、議員報酬半減の実績を挙げ「負ければ、すべて元に戻る」とも。応援にフル回転した市長も、議員や公務員批判で、前回の再現を狙った。「税金で食っとるもんは優雅なもん」。風は起こせなかったが、候補を絞り奏功した。

 ただ、市政運営はまだいばらの道。自民、民主、公明が押さえた計五十議席は、市議会の三分の二。議会の議決に対し、市長が拒否権にあたる「再議」にかけても、再可決される。自民のベテラン議員は「今まで以上に、是々非々で河村市政と対峙(たいじ)することになる」と話す。

 東区の自身の事務所で開票の行方を見守った河村市長。「一議席増えた。勝ったことになると思いますよ」。満面の笑みで勝利宣言も飛び出し、不敵に言い放った。「(減税などを見直そうとしても)よほどおかしいことがないとできませんよ。もし議決されたら、リコールですか。できんことはないですよ」

◆県議はゼロに 改選前は7議席

 減税日本は現職三人と新人一人が愛知県議選に挑んだが、改選前の七議席がゼロに。名古屋市東区選挙区(定数一)では現職の安藤雅彦さん(47)がわずか七十七票差で次点となる惜敗だった。代表の河村たかし名古屋市長は「定数一か二だと、なかなか取れん。残念です」と言葉少なだった。