愛知

共産躍進の春県議選12年ぶり議席

2015年4月13日

愛知県議選と名古屋市議選でともに当選確実となった鷲野恵子さん(左)と青木朋子さん=12日夜、名古屋市西区の事務所で

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 各地で自民党が手堅く議席を得た十二日投開票の統一地方選前半戦。人口減少など山積する課題がありながら、選挙への関心は低く、投票率は軒並み過去最低になった。東海地方では、共産党が昨年十二月衆院選の勢いを維持し、愛知県議選で十二年ぶりに議席を獲得。名古屋市議選で過去最多の十二議席を得るなど躍進した。地域政党は、前回選挙ほどの旋風を起こせなかった。

 共産は愛知県議選で二議席を奪還した。名古屋市西区選挙区で当選した新人の鷲野恵子さん(67)は「空白だった県会に風穴を開けられた。県民の暮らしと命を守る温かい県政を実現したい」と支援者の拍手に目を潤ませた。

 鷲野さんは名古屋市議六期の知名度を生かし、後任候補として同市議選で当選した青木朋子さん(44)とともに選挙戦を展開。大村県政を「大企業優遇」と批判し、護憲や福祉重視を訴えた。「暴走する安倍政権をストップし、絶対に戦争はやめてほしいという声が大きかった」と勝因を分析した。

 同県豊橋市選挙区で当選した新人の下奥奈歩さん(27)は午後十一時五十分ごろ、同市の事務所前で支援者の拍手に迎えられ「若者の声を、県議会の場で届けられるのがうれしい」と声を張り上げた。

 候補者六人中、最年少で唯一の女性。他候補が地元のインフラ整備や産業振興を訴える中、「戦争する国づくりを止める」と訴え続け、違いを鮮明にした。

 党本部も昨年十二月に躍進した衆院選の勢いを「共産空白県」にも広げようと、志位和夫委員長や小池晃副委員長ら幹部が相次いで愛知県を訪れた。二月の知事選で現職に相乗りした共産以外の主要政党を「オール与党」と指摘し、批判票の取り込みを図った。

 名古屋市議選では、改選前の五議席を大幅に上回り、過去最多の十二議席を獲得。自民の二十二議席、民主の十六議席に次ぎ、公明、減税と並ぶ第三会派となる。市中心部の中区では、党として初の議席を獲得。初当選した西山あさみさん(25)は「暮らしに寄り添う政治に変えていきたい」と抱負を述べた。

 共産党愛知県委員会の石山淳一書記長(50)は、躍進について「自民・安倍政権の暴走政治のストップと、大企業や富裕層を優先する県政、市政の転換を求める有権者の思いを託された」と受け止めた。