愛知

静かな選挙戦、投票率は名古屋市議選

2015年4月12日

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 名古屋市議選は、百三十八人が立候補した前回の二〇一一年の出直し選と並ぶ激戦となったが、有権者にも候補者にも、当時のような盛り上がりはみられなかった。期日前投票は順調に推移したものの、実際は手応えをつかみかねている候補者も多い。

 「有権者の反応があまりに乏しい。こんなにしらけているのかと驚いた」

 三日の告示後に百カ所以上で街頭演説したという公明の候補は、四年前に吹き荒れた逆風がやんだことを肌で感じた。前回選は、減税日本が既成政党との対決構図をつくりだし、議員報酬や市民税減税の問題を争点化。だが、この四年間に、減税議員の不祥事などが相次いだ。

 この候補は「その反動から、政治不信が高じて無関心になったのではないか。投票率は40%前後と思うが、過去最低を更新する可能性もある」と話す。

 市議選の投票率は、投票時間延長や不在者投票の条件緩和があった一九九九年と、出直し選で注目を集めた二〇一一年を除くと、おおむね右肩下がりで推移している。

 一一年は、期日前投票が〇七年の二倍のペースだったが、投票日二日前の東日本大震災で鈍化。結果的に、〇七年より上がったが、それでも43・96%と過去四番目の低さだった。

 今回の期日前投票は一一年並みの出足。だが、制度の浸透で利用する有権者が増えているため、最終的な投票率アップにつながるかどうかは不明だ。

 「前回と比べて明確な争点がない。有権者の反応も鈍く、投票率は低くなりそう」と民主の候補。名前を覚えてもらうため、ひたすら街頭で連呼したが、「投票率は下がりすぎても、上がりすぎても不安。どっちがいいのか、よく分からない」と漏らす。

 自民の候補も「この四年間の是非を問う重要な選挙。選挙に行き、投票率を上げましょう」と街頭で訴えた。ただ、同じ選挙区にもう一人、党公認候補がいるため、「他党の票が増えれば自民が共倒れしかねない。組織票を固めている分、個人的には、投票率が下がった方が有利だと思う」と本音を明かした。