愛知

中部浸透狙う維新愛知・名古屋で攻勢、他県は擁立苦戦

2015年4月9日

愛知県議選候補(左)の応援演説をする維新の重徳和彦衆院議員=4日、愛知県岡崎市で

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 大阪発祥の維新の党が、中部地方各地で統一地方選の候補者を擁立している。初挑戦の愛知県議選や名古屋市議選では、議会で単独会派として一定の権利を得られる議席を最低目標にしている。

 「地方議員もぬるま湯に漬かっている」。県議選・市議選告示後で最初の土曜日となった四日、名古屋駅前。江田憲司代表は愛知県議選、名古屋市議選の新人候補の応援演説で訴えた。一週間前も県内で遊説したばかりで、愛知への傾注ぶりをうかがわせた。

 維新は統一選に県内で新人二十七人を含む三十五人の公認候補を擁立。維新勢では大阪府、東京都、神奈川県に次ぐ規模だ。県総支部代表の重徳和彦衆院議員は「衆院選がなければ、これほど多く立てられなかっただろう」と振り返る。

 昨年十二月の衆院選。愛知は12区(岡崎市など)で前職の重徳さんが自民前職らを制し、4区(名古屋市瑞穂区など)で元職の牧義夫さんが比例復活した。この勢いに乗り県議選は十四人を公認、推薦。会派の代表質問ができる六議席を最低目標とする。特に岡崎市・額田郡選挙区(定数五)は二人を擁立。自民三人、民主一人、無所属一人と争う激戦だが、党関係者は「自民が強い地盤にくさびを打ち込みたい」と明かす。

 全十六のうち十五選挙区に一人ずつ立てた名古屋市議選。第三極として失速した減税日本の議席を奪おうと虎視眈々(たんたん)。牧さんが市南部を地盤としており、余勢をかって議席拡大を狙う。民主から移った現職は「目標は二桁。議会運営委員会に委員を出せる五人が最低ライン」と強気だ。

 ただ、中部地方でも愛知県以外は事情が異なる。統一選公認候補は三重県鳥羽市議選、岐阜市議選、長野県松本市議選、福井市議選、大津市議選の各一人などにとどまった。

 岐阜県内は昨年の衆院選で今井雅人さんが比例当選したが、地方組織がほぼ皆無。県議選の公認擁立を見送り、「地方でも野党がまとまって巨大な自民党に対抗する」と民主党の公認・推薦候補八人を推薦した。今井さんも党県総支部長として応援に回っている。

 県内で唯一、公認候補を立てる統一選後半戦の岐阜市議選は定数が四一から三八に減り、五十人が立候補を予定する激戦。新人男性は「維新の看板を背負う責任がある。落とせない」と県内初の地方議員を目指す。

 (統一地方選取材班)