愛知

河村市長への評価も争点名古屋市議選

2015年4月6日

「減税日本」候補者の応援演説をする河村市長=名古屋市東区で

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 十二日投開票の名古屋市議選(定数七五)は、前回とほぼ同じ百三十六人が並び立つ激戦だが、地域の懸案など目立った争点が見えない。ただ、河村たかし市長が、自ら立ち上げた「減税日本」の応援にフル回転し、自民、民主、公明など既成政党が対する構図は変わらず、河村市政の評価を問う選挙ともいえる。本紙の候補者アンケート(票ナビ)では、四年前と攻守が逆転し、河村市政を「評価する」は二十五人にとどまっている。

 「千メートルタワーより地域の安全安心を。パフォーマンスや聞き心地のいい言葉ではなく、まじめで責任ある名古屋市政を取り戻す」

 終日、雨となった五日。自民の若手候補は、減税日本の公約に盛り込まれた市長肝いりの観光構想をやり玉に挙げ、やんわりと市政の転換を訴えた。

 本紙が全候補者百三十六人に「河村市長の市政運営の評価」を尋ねたところ、「まったく」「どちらかといえば」を合わせ、「評価しない」との回答が三十人。「大いに」「どちらかといえば」を合わせた「評価する」の二十五人を上回った。

 共産の全十七人は全員が「評価しない」。「大型公共事業を優先し、福祉を減らしている」などと批判。かつて減税日本に所属した次世代と無所属の二人も、「議員を育てないし、突然の政策が多く、役所が困っている」などと手厳しい。

 一方「評価する」は減税日本の全十八人と、次世代や無所属。「有言実行と、発信力の高さを評価する」「庶民目線に立つ姿勢はぶれていない」といった声が多く、減税日本を離れても、市長を支持する候補もいた。

 維新の全十五人と諸派、無所属の八人は「ふつう」と回答。「身を切る改革を断行しており、マネジメントのみ課題」「もっと地道な政策を」との意見が上がった。

 実は、もっとも多いのは「無回答」の五十八人。自民、民主、公明の三党の全五十七人が足並みをそろえ、「市民の判断に委ねる」と評価を避けた。

 選挙中は市長との対決を過熱させたくない思惑がのぞくが、自由回答では厳しい意見も。「市内部での意思疎通をしっかり行い、責任ある政治を」「自分のためではなく、市民のための政治を」と注文をつけた。

 三党の中堅、ベテラン候補は対立する中にも、向き合おうとする姿勢も。「寛容さと自制心を併せ持ち、初心忘れず庶民革命を貫くべし」「志を夢のままで終わらせないよう、多様な意見に耳を傾けて」「衆院初当選の初心にかえって」と懐の深さを見せている。

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 「候補者アンケート」は二日朝刊に掲載された。八日朝刊にも掲載する予定。

 (統一地方選取材班)