愛知

ベテラン候補駆け巡る高齢者に声掛け政策訴える

2015年4月5日

 十二日投開票の名古屋市議選の候補者たちは告示翌日の四日、陽気に恵まれ満開となった桜の下を駆け巡った。有権者の目はとかく、新鮮さを売りにする若手に向きがちだが、ベテラン候補も地をはうような戦いで、挑戦を受けて立つ。 (統一地方選取材班)

選挙戦初の週末、花見客らに支持を求めるベテラン候補=名古屋市で

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 十一回目の当選を目指す自民党の男性候補(77)は午前四時に起床し、公園で朝の体操をしていた同年輩の高齢者たちに次々と声を掛けた後、花見客でごった返す地元の祭り会場へ。

 「頼むよっ」。演説もせず、マイクも持たず、ひたすら握手を繰り返した。

 一段落すると、「選挙と、お産は似ている。何回経験しても、この緊張感は変わらんね」と、「命懸けの戦い」を出産に例えてみせた。

 支持者からは「死ぬまで頑張れ」と激励が飛んだ。スニーカーにジャンパー姿で自転車にまたがり、選挙区をくまなく回った。

 四年前の前回選挙、河村たかし市長の「議員の家業化」批判で、既成政党に逆風が吹き荒れた。だが、三十年以上の議員生活を通じて、地域に深く根差した強みを見せて、風をはね返した。

 期数を重ねるごとに多選批判も聞こえてくる。だが、意欲は衰えない。「長く続けることが一概に悪いのか。地域の住民と顔の見える関係をつくってきたからこそ、地域のために働ける。まだまだ市政運営のために、経験を生かしますよ」

 十二回目の当選を目指す民主党の男性候補(78)も、経験豊富な議員の存在意義を説く。「敬老パスの負担金問題など、高齢者施策の実態も、経緯もよく分かっておる」

 自分の選挙区の候補者の平均年齢を、二十四歳も上回るが、「私も最初は若さで通ったものだ。いつの時代も同じ」と動じない。

 ただ、以前なら夜の個人演説会を連日二、三カ所で開いていたが、自分同様に年を重ねた支持者に配慮して、大幅に縮小。「投票所に行きたくても、行きにくい支持者も増えとる」と気掛かりもある。選挙カーに乗って街を回りながら街頭演説に立ち、花見会場にも飛び込み、足腰の強さを見せつけた。