愛知

シングルマザー、性的少数者…29人が立候補 名古屋市議選

2015年4月4日

選挙戦が始まり、支持を訴える女性候補者=名古屋市名東区で

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 3日告示された名古屋市議選には、過去2番目に多い29人の女性が立候補した。このうち半数の15人が新人。依然「男社会」に映る市議会に新風を吹き込もうと、出馬を決めた彼女たち。「女性の活躍推進」の実現に向け、さまざまな目線で訴える。

 「シングルマザーとして、働きながら子育てしている経験や苦労を政治に届けたい」

 次世代の党の候補(30)は、看護師として働きながら一人息子を育てる。子どもが病気になっても仕事を休みにくく、仕事が忙しくなると子どもと過ごす時間が減る。女性が働きにくい現状を広く訴えたいという思いから、知人の勧めで出馬を決めたのは、わずか五日前。三日は選挙カーに乗り、子育て支援の充実の必要性を強調した。

 「女性の社会進出を進めていきましょう」。自民党の候補(30)は慣れない街頭演説で、思いをぶつけるように声に力を込めた。

 大学卒業後、大手銀行の総合職として活躍。だが、先輩の女性社員が妊娠や出産で、やむなく辞めていく姿を何度も見てきた。「男社会の職場に残っている閉鎖的な雰囲気を、少しでも変えていければ」。学生時代から興味があった政治の道を志そうと挑んだ。

 別の自民党の候補(28)は、介護現場で働く人たちの待遇を知ってもらいたいと思う。学生時代に学んだ法律の知識を生かし、特別養護老人ホームに事務職として勤務。施設では、一人の職員が三人の利用者を受け持つ慢性的な人不足が続くが、経営が厳しく待遇は改善されない。街頭で「介護職員の劣悪な労働環境を改善することが、施設を利用する高齢者の待遇改善にもつながる」と訴えた。

 「少数派や普通の人の思いを吸い上げることでは、誰にも負けない。小さな声を全力で届けます」

 実は二十九人のうち、一人の戸籍は男性だ。この諸派の候補(45)は自ら性同一性障害であることを公表し、女性として生きる。NPO法人代表として性的少数者の支援に取り組み、「光が当たるきっかけに」と立候補を決めた。

 この日は自転車で選挙区を回り、繁華街では投票の重要性を訴えた。「少数派は無視されがちだが、選挙権は誰でも平等です」と。

 (統一地方選取材班)