「新幹線施策に力」橋本さん、表情緩めずあわら市長選
2015年4月27日
支持者と握手を交わし、笑顔を見せる橋本達也さん(右)=あわら市の事務所で |
あわら市長選で三選を果たした橋本さんの事務所(大溝三)には、開票が始まる前から、支持者が集まった。
午後十時過ぎ、当確の一報が入り、ほっとした声が上がった。しばらくして、橋本さんが姿を現すと、支援者からは「おめでとう」「よかった」との声が掛かり、事務所はお祝いムードに包まれた。橋本さんは、支持者らの握手ぜめに遭いながら、勝利を喜び合った。
橋本さんは、僅差の勝利に、表情を緩めないまま演台に立った。「争点が見えない厳しい選挙だった」と振り返り「人口減少対策に力を入れ、北陸新幹線の県内延伸に向けた取り組みを進める。旧町意識に敏感になっている点を慎重に受け止め、真摯(しんし)に対応していかねばならない」と話した。
選挙戦では、終始優勢がささやかれたが、陣営では運動の上滑りを警戒。連日二、三カ所で個人演説会を開いて政策を訴え、支持を固めた。市内全域で計十六回開き、二百人以上の聴衆が集まった会場もあった。総決起大会でも、出陣式並みの七百人を集めるなど、最後まで攻めの姿勢を緩めず、選挙戦を戦い抜いた。
◆地区対立避け慎重に
<解説>
二〇〇七年以来八年ぶりの選挙戦となり、現職の橋本さんが僅差で三選を果たした。〇四年の金津、芦原の旧両町の合併後、初めての選挙となった〇七年は、中学校統合の是非をめぐり市を二分する激しさだったのに対し、今回は際立った争点がなかったことなどから盛り上がりを欠き、投票率は大幅に低下した。
前回が無投票だったこともあり、現職の優位は動かないとみられていたが、ふたを開けてみれば大下さんが肉薄していた。その大下さんは、県の支援を受けた街並み整備や拠点づくりが進む芦原地区での取り組みを挙げて、「温泉街への偏重」「箱もの行政」と批判。選挙戦を通じて、多くの企業が立地する金津地区と温泉街を中心とする芦原地区の特性の違いから、税収と公共投資のバランス面で不満を持つ市民がいることも表面化した。
大下さんは金津地区の振興の必要性を訴えており、多くの支持を集めた結果を踏まえれば、橋本さんは三期目に向けて新たな宿題を突き付けられたことになる。かつてのような地区間の対立への発展を避けるため、慎重な市政運営が求められている。
(本田優子)