福井

原発、争点なき勝利渕上さんが立地自治体の顔に

2015年4月27日

 原発三基が立地する福井県敦賀市長選は、立候補した無所属新人の二人がいずれも原発との共存を打ち出す中、市政の刷新を訴えた元市議、渕上隆信さん(54)が初当選を果たした。

 「皆さんの力が結集した」。前回市長選で二千五百票差の次点に泣いただけに、当選の報に渕上さんは顔を上気させて喜んだ。

 市の歳入は約二割が原発関連。原発の保守管理や作業員が利用する飲食、宿泊と地域経済への波及効果が大きく、その是非は、争点にならなかった。市にある原発は活断層や多数のトラブルを抱え、再稼働が見通せないが、それでもなお、渕上さんは当選の弁で「原発の再稼働や新増設を推進したい」と訴えた。

 三月には敦賀原発1号機の廃炉が決定。市財政は年間約五億円の税収減が見込まれるが、両候補の「対策に違いはなく」(候補者陣営)、選挙戦は盛り上がりに欠け、投票率は過去最低の68・81%を記録した。

 敦賀市長は歴代、全国原子力発電所所在市町村協議会の会長を務める。「原発立地自治体の顔」となる渕上さんは「廃炉で落ち込む地域経済への対策を国に求めていきたい」と語った。