福井

<議員の非常識>(上)どこまでが政務活動?

2015年4月22日

写真

 統一選の後半戦が二十六日投開票される。昨年、兵庫県議の“号泣会見”などで注目が集まったのが地方議員の資質。福井県内の事例を調べてみると…。有権者の皆さん、これって常識?それとも非常識?

 沖縄県での自然体験フォーラム参加費十二万六千円、佐賀県でのアワビ養殖視察費七万円、国会議員や秘書への手土産代二万八千円…。二〇一一年度の福井市議の政務調査費をめぐる住民監査請求で、市監査委員が「妥当」とした使い道には県外出張が並んでいた。

 一方で監査委は、ある市議の倫理セミナー参加費を「精神を養うもので政務調査に当たらない」と判断。返還を求めるように市長に勧告した。基準はその内容が議員としての活動や市の事業に役立つかどうか。ただし、研修や視察の費用対効果は見えにくいのも確かだ。

 一三年度、ある市議は北海道や福岡、長崎を視察。市に提出した政務活動記録簿によると、八度の県外出張で六十五万五千円を政務活動費から支出し、視察後の報告書には「非常に参考になった」などと記した。

 しかし、議事録によると、二〇一三年度以降の二年間でこの市議が本会議で行った一般質問はゼロ。委員会での質問も十数件で、記録簿に載る研修や視察を基にした発言がないまま今月、議員を引退する。

 福井市の政務活動費は議員一人当たり年間百八十万円。一三年度は市議三十一人が計四千八百万円余りを支出した。住民監査請求を続ける市民オンブズマン福井の伊東晴美事務局長は一二年度以降、飲食を伴う懇談会費の支出が原則禁止となった点に触れ、こう強調する。

 「市民の関心が大事ということ。議員も市民も政務活動費が税金から出ているという意識がまだまだ低い。一票を投じる際、政務活動費の使い道は一つの基準になる」

 県内十七市町で政務活動費があるのは、あわら市を除く八市と高浜町。いずれも庁舎で閲覧できたり、情報公開請求で開示されたりする。一方、政務活動費がない自治体では、研修や視察は原則、自己負担。それでも議員からの不満はほとんどないという。

 (統一選取材班)