福井

<あわらの進路>(上)課題山積も細る財源

2015年4月16日

えちぜん鉄道あわら湯のまち駅南側で整備が進む芦原児童公園=あわら市二面で

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 あわら市長選(十九日告示、二十六日投開票)には、いずれも無所属で現職の橋本達也氏(60)=田中々=と新人で学習塾経営の大下重一氏(67)=花乃杜(はなのもり)四=が立候補を表明しており、八年ぶりの選挙戦となる公算が大きい。二〇〇四年三月の金津、芦原両町による対等合併から十一年がたち、特例措置の縮減で財政状況が厳しくなる中、まちづくりや人口減少対策など課題は山積している。市の現状と課題を二回に分けて探る。

 市の重要な財源である普通地方交付税は合併に伴う特例措置として毎年六億円が上乗せされていた。しかし“満額”でもらえるのは十年間。一四年度から徐々に縮減され、一九年度からはなくなる。

 財源が年々少なくなる中、北陸新幹線の県内延伸に伴う整備費用のほか、あわら温泉街の魅力アップを目的とした事業など、まちづくりに不可欠な工事が控える。えちぜん鉄道あわら湯のまち駅(温泉一)の南側には、フットサルコート二面を含む児童公園を整備。JR芦原温泉駅(春宮一)の周辺でも駅から郷土資料館や図書館がある「金津本陣IKOSSA」までを結ぶ散策路を設ける予定だ。

 建設事業ばかりではない。社会保障費は一四年度に二十四億七千万円だったが、一五年度当初予算では二十六億六千万円が計上され、今後さらに増大する見通しだ。

 一方、自主財源となる法人市民税は一三、一四年度に約八億円だった。あわら温泉街への来訪者増減の目安となる入湯税は、いずれも約九千万円でほぼ横ばい。積極的な企業誘致に加え、三月に金沢まで開業し福井延伸が待たれる北陸新幹線による関東圏からの観光客増に期待が寄せられている。

 全国の経済指標は上向いているが、県内ではまだ実感が薄い。市税収の大幅な伸びも見込みにくいだけに、財政担当者は「財政の健全化には学校や公民館の統廃合など、積極的なスクラップアンドビルドが必要」と説明する。

 市の貯金に当たる財政調整基金は現在約二十八億円あるが、財政担当者は「積み増しは極めて困難。できるだけ使わないように努めてきたが、将来的には取り崩さねば、やっていけないだろう」と予測。収入に占める実質的な借金返済の割合を示す実質公債費比率は一三年度末に10・5%で注意が必要とされる25%よりも低いが、楽観できる状況にはない。