福井

<幸福度を問う>(5)外国人誘客、強化策を

2015年4月16日

外国人向けにパンフレットに英語を表記しているホテルもある=福井市のリバージュアケボノで

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 福井市の足羽川沿いに今年も満開に咲いた桜並木。近くのホテル「リバージュアケボノ」の清水嗣能(つぐよし)社長は「最近、中国語が聞こえるようになった」と外国人観光客の増加を感じている。「ただ、多くの外国人にとって、福井に行ってみようと思う前に知られていないのが実情」と続ける。

 日本総合研究所がまとめた「2014年版 全47都道府県幸福度ランキング」で人口あたりの外国人宿泊者数は三十六位。同じ北陸でも石川県は十一位、富山県二十一位と水をあけられている。二〇一三年の県内の外国人宿泊客数は二万八千人で、石川県の三十一万人、富山県の十二万人に遠く及ばない。

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 県観光振興課は外国人誘客の弱点をプロモーション不足と分析。外国人には石川県の兼六園、富山県の立山黒部アルペンルートは抜群の知名度があるという。県は教育旅行に熱心な台湾には体験宿泊をアピールするなど各国の事情に応じた売り込みに力を入れる方針だ。

 県海外誘客推進協議会の会長を務める清水社長もイメージ戦略の重要性を説く。世界遺産に登録見込みのある越前和紙や、すでに無形文化遺産に登録された和食など「素材はいい」と潜在力に自信を持つ。

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 「あとはイメージ作り」と清水社長。身近なところでは「足羽川の桜」。「このキャッチフレーズでは外国人はもとより、県外客にも伝わらない」とばっさり。「お市の桜にしたらどうか」と提案する。中世の遺構が残る朝倉氏遺跡は「日本のポンペイ(火山の噴火で地中に埋もれたイタリアの古代都市)」など「広い視野で名付けるなど売り込みに工夫が必要」と強調する。

 人口減少が続く日本。一方で一千三百万人にまで増えた外国人旅行者。取り込まない手はない。

 (塚田真裕)