福井

知事選、関心の引き寄せに難前半戦記者座談会

2015年4月14日

 統一地方選前半戦の知事選と県議選が12日に終了。知事選は現職の西川一誠さん(70)が4選を果たし、県議選では自民系の議員が多く当選した。取材に携わった記者たちの“感想戦”を紹介する。

 A 知事選は西川さんが、共産新人の金元幸枝さん(57)を大差で下した。

 B 丁寧にマニフェスト(政策公約)の要約版を配り、十二の政策の浸透を図った。

 C でも、それがどれだけ伝わっただろうか。時間がないと「後で読んでください」と言うだけ。一点か二点、特に訴えたい内容を絞って政策を主張する姿が見たかった。

 D あと「めいわくありがた縁結び」(注・結婚支援の公約のタイトル)などと書かれていたが、正直、中身が分からない。

 A 一方の金元さんはどうだった。

 C 明確に「原発ゼロ」「北陸新幹線見直し」を強調した。主張は分かりやすかった。

 B でも現職への批判がほとんどで、有権者の共感を呼べただろうか。西川さんと真逆で、強調した部分以外の全般的な政策が見えにくかったと思うよ。

 D 西川さんは総花的で金元さんは一点突破頼み。双方とも有権者の関心を引き寄せるのに難ありでは。これでは投票率が低下するのも仕方ない。

 B 現職と共産新人の一騎打ちという三回連続の構図に、県議選の無投票選挙区が増えたのも低投票率の要因じゃないかな。

 A 西川さんに今後求められることは。

 C リーダーシップ。暮らしやすさなどをもっと発信すると人は集まり、人口減対策にもつながるんじゃないかな。

 D 同感。新幹線県内延伸を見据えた観光産業化など、全国に打って出る「武器」を生み出してほしい。

 B 原子力政策もそうだ。エネルギーのベストミックスについて持論を展開するとか、原発が必要と思うなら自ら必要性を訴えるとか。今の話しぶりは、どこか人ごとのような感じがしてならない。

 A 県議選では、自民系が過半数を獲得したが、全体として候補者が少なく、選択肢の幅が狭かったとの声も聞いたけど。

 C でも、自民系の新人は多くいる。民主など野党勢も候補者を育てないと…。

 D 地盤の厚さが当落を大きく左右しているけど、その解消を図らないと、なかなか新人は出にくい。

 B 有権者が地縁ではなく、政策などで投票する候補者を選ぶようにしないと、同じ状況が続くと思うよ。

 A それに、県議選は選挙公報もなく、判断材料がない。全候補者がネット選挙に取り組んでいるわけでもない。変革が必要だね。