福井

県議選7選挙区の得票分析

2015年4月14日

 県議選(定数三七)は無投票となった5選挙区を除く7選挙区で合わせて34人が計26議席を争い、現職18人、元職1人、新人7人が当選した。選挙戦となった選挙区では、各候補者が激戦を展開した。各選挙区の得票結果を分析する。

◆僅差の600票で当落 福井市

 現職8人と新人5人が立候補した。新人は引退する県議の後継や市議からのくら替え、組織の支持を受けるなど地盤を持つ候補者ばかりで、誰が落選するか予想しづらい選挙戦となった。トップが1万1000票を獲得した一方、当落ラインは600票以内だった。

 任期途中で辞職した県議の地盤を引き継いだ清水智信さん(33)=無新=が全選挙区を通じてトップ当選。知名度と若さで浮動票も取り込んだ。引退県議の後継西本恵一さん(54)=公新、この4年間で後援会組織を拡大した大森哲男さん(60)=自現、経験を訴えて地盤を手堅く固めた松田泰典さん(60)=自現、山本芳男氏(75)=自現=が上位当選した。

 山本正雄さん(73)=民現=は県教組の支援を受け、野田富久氏(67)=民現=は自治労を中心に票を集めた。前回補選で涙をのんだ井ノ部航太さん(40)=無新=は連合福井の支援を受け初当選。脱原発を訴えた共産現職の佐藤正雄さん(56)は組織票を固め、一定の反原発票を取り込んだ。

 「当落ラインは団子状態の混戦」と各陣営が見ていた下位は、補選で議席を得た畑孝幸さん(66)、中井玲子さん(57)=ともに自現=が抜け出し、最後の議席は引退する県議の地盤を引き継いだ長田光広さん(44)が滑り込んだ。自民の推薦を受けた新人峯田信一さん(67)は現職の地盤を崩せなかった。

◆勝敗決めた経験値 敦賀市

 現職2人、新人2人による争いとなったが、いずれの候補も原発推進で政策に大きな違いはなく、経験や年齢、地盤の人口が勝敗を分けた。

 強さを見せつけたのが石川与三吉さん(84)=自現=だ。告示後は1日3回の演説会で5期20年の経験を強調。前回に続き1万票超を集め、県内史上最高齢の当選を果たした。

 元市議の力野豊さん(55)=無新=は市人口の3分の1を占める地盤の粟野地区をがっちり固めて初当選。相対的な若さをアピールし、票を伸ばした。糀谷好晃さん(74)=民現=は労組票を固めて3選。前回よりも得票を減らしたが、議席を守った。

 宮崎則夫さん(67)=無新=は30回を超える市政報告会や個人演説会を実施。地盤の市東部を中心に、市議5期の経験と地域に応じた課題を訴えたが、支持を広げられなかった。

◆引退者の後継が首位 小浜市三方郡三方上中郡

 現職2人と新人2人が3議席を争い、引退する地元県議の後継で初挑戦した新人がトップ当選。現職2人も議席を守った。

 小堀友広さん(66)=無新=は出身地の若狭町三方地域と隣接する美浜町を固めて初当選。中川平一さん(66)=自現=が地盤とする若狭町上中地域の票も取り込み、1万票に迫った。

 一方の中川さんは徹底した組織選挙で、小浜市や美浜町にも一定程度浸透。地元の票を奪われたとはいえ、各市町で満遍なく票を集めて5選を決めた。西本正俊さん(56)=無現=は地元の小浜市遠敷(おにゅう)地区を足掛かりに、市全域で支持を受け、3選を果たした。

 小浜市議から、くら替えした池田英之さん(51)=無新=は自民党小浜支部の支援を前面に出して浸透を図ったが、同市でも思ったように票が伸びず、ほかの3人に差をつけられた。

◆1万票の大台達成も 越前市今立郡南条郡

 現職3人、元職1人、新人3人が5議席を争った。前評判通り、6000票付近が当落ラインとなった。

 前回に涙をのんだ宮本俊さん(51)=無元=は昨夏から活動を本格化。「育てる会」を15地区に増やし、万全の体制で臨み、越前市で圧倒的な強さを見せた。唯一、1万票の大台に乗せ、返り咲きを果たした。

 1万票にわずかに届かなかった仲倉典克さん(47)=自現=はそれでも地盤の南越前町で8割以上を得票する一人勝ち状態。越前市中心部にも拠点を構え、票を取り込んだ。関孝治さん(74)=自現=は地盤の旧今立町と池田町で抜群の強さを見せた。昨年末の衆院選に出馬した辻一憲さん(49)=民新=は労組票の多い越前市で多く得票。草の根で戦った細川かをりさん(55)=無現=は満遍なく支持を集めた。

◆初選挙は現職に軍配 あわら市

 2007年の選挙区再編後初めて選挙戦に突入した。1議席をめぐって2人が激しい戦いを繰り広げ、笹岡一彦さん(59)=自現=が750票の僅差で、東川継央さん(58)=無新=を退けた。笹岡さんは、地盤とする金津地区を中心に農業関係団体の支援も得て芦原地区からの支持も集めた。東川さんは市議らの応援を受け、地元の芦原地区から金津地区への浸透も図ったが、及ばなかった。

◆組織票を幅広く獲得 吉田郡

 2人による一騎打ちは、3選を目指す鈴木宏紀さん(56)=自現=に軍配が上がった。

 鈴木さんは個人演説会などで地方創生を推進する必要性を指摘。自民党支持層や河合永充・永平寺町長、農業、商工団体など幅広く支持を集めた。

 松川正樹さん(66)=無新=は、学習塾経営で培った人脈を生かしつつ教育などへの情熱を訴えたが、現職の壁を破れなかった。

◆人口対策訴え議席守る 丹生郡

 島田欽一さん(58)=自現=と藤野利和さん(63)=無元=の一騎打ちは前回と同じ構図。自民党支持層を中心に票固めを図った島田さんが、400票ほどの差で議席を死守した。

 島田さんはUターン促進など人口減少対策を重視。県外に進学した女性の働く場所の確保が重要と指摘し、支持を広げた。藤野さんは県議時代の経験などを訴えて票の掘り起こしに努めたが、届かなかった。