福井

原発対応「信任」を強調西川氏

2015年4月13日

支持者と握手を交わす西川一誠さん=12日夜、福井市板垣の事務所で

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 福井県知事選は、三期十二年の実績を前面に打ち出した無所属現職の西川一誠さん(70)が四選を果たし、駆け付けた支援者らと喜びを分かち合った。同県知事選初の女性候補として原発ゼロなどを訴えてきた共産新人の金元幸枝さん(57)は、大差で涙をのんだ。

 投票締め切り直後の午後八時すぎ、当選を確信した西川さんは、支援者らの大きな拍手に迎えられ、福井市板垣三の事務所に姿を見せた。集まった国会議員や支援団体のトップらとともに万歳を三唱し、笑顔で四選の喜びに浸った。

 インタビューでは、北陸新幹線の県内延伸の前倒しや「幸福度日本一」などを挙げながら、四年間の県政のかじ取り役として「自信と誇りをしっかり持つ段階になった。福井の良いものを磨いて、日本に、そして世界に打って出たい」と力強く誓った。

 今後は関西電力高浜原発などの再稼働問題にも取り組むことになる。原発問題への対応を問われると「(選挙戦を通じ)県政、市や町の政治にまかせてしっかりやってほしいという暗黙の気持ちをいただいた」との認識を示した。その上で「国が責任を持ってやるんだというメッセージを出すことで、国民の原発への理解も深まり、世界に日本の原子力の安全を伝えられる」と国に責任の明確化を訴えた。

 「必ず守る」と掲げた多くの公約は今後の県政運営への責任の重さでもある。表情を引き締めた西川さんは「人口減少問題などに福井がモデルとなって、全国の先頭に立って進めたい」と宣言した。

 一方、十四日に司法判断が示される高浜原発3、4号機の運転差し止めに関する仮処分申し立てに対する見解について「きょうの段階では発言しかねる」と、いつも通りの慎重な姿勢を崩さなかった。

◆「批判の声受け止めて」落選金元氏

「原発反対の声なき声を西川さんに受け止めてほしい」と話す金元幸枝さん=12日夜、福井市二の宮の事務所で

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 「県民の皆さんの熱い激励に勇気をもらいながら戦うことができたことを誇りに思います」。午後八時すぎ、福井市二の宮五の事務所で待機していた金元さんは会見場に姿を見せ、支援者への感謝の言葉を真っ先に口にした。

 選挙戦では「命と暮らし優先」を一貫して主張した。「孫や子のためにも原発はいらない」「新幹線より介護」など街頭の声に背を押された。大差での敗北だが「女性を中心に支持は広がった」との思いは強く、党県書記長として共感の輪を広げたいと意気込む。

 「金元への票は現県政への有権者の批判の声」とチクリ。「西川さんにはこの声を受け止めていただきたい」と、かすれた声に力を込めた。