福井

次は自身の「突破力」を

2015年4月13日

<解説>

 西川氏は今後四年間も、県民から現路線の継続を託された形となった。これまでの三期十二年で、掲げたマニフェスト(政策公約)の達成率は高く、大きな失政もない。選挙前に示した新たな公約で政策を満遍なくちりばめるなど、安定感や堅実さが一定の評価を得たと言えるだろう。

 しかし、本人が「福井は突破力が足りない」と認めるように「ほどほど」の現状に安住していては、人口減少や企業の流出など地盤沈下は止まらない。福井県が大きな変化を望まなくても、変化の激しい県外の動きと無縁ではいられない。西川氏は政治家に必要な資質を「約束を実行し、自分のことを後に置く」と語った。だが、本紙が行ったアンケートでは県民が理想の知事像に「発信力」「強力なリーダーシップ」「明確な主張」を求めており、必ずしも一致しない。

 低投票率の原因は「現職対共産新人」の新味を欠く構図に県議選の無投票が重なった面が大きいが、西川氏の発信力不足で有権者の関心が高まらなかった面も否めない。選挙中に「福井は幸福度一位」と繰り返し強調したが、果たしてどれだけ共感を得られたか。

 争点の原発にしても是非はさて置き、本紙の取材に必要性を認めつつ「国が国民に説明、説得すべきだ」と国任せ。火中のクリを拾わない姿勢からは強力なリーダーシップを感じにくい。円熟の四期目で、西川氏自身の「突破力」を示せるかが問われている。

 (西尾述志)