福井

ネット活用は進まず解禁後初の統一選

2015年4月10日

 インターネットを使った選挙運動が解禁されて初の統一地方選。知事選や県議選の候補者たちは遊説のほか、政策の浸透や日々の活動状況の周知を図る手段としてウェブサイトや会員制交流サイト(SNS)を用いているが、さまざまな理由で活用し切れていない様子だ。

 知事選では共産新人の金元幸枝さん(57)と無所属現職の西川一誠さん(70)の両陣営ともウェブサイトなどを県選管に届け出ている。

 金元さんは本人が演説の合間にSNSに活動状況を投稿。一日に十回以上更新することもあり、六百人超の「友達」を通じて直接会えない人に臨場感あふれるメッセージを届けている。党県委員会のホームページ(HP)にもリンクさせて、情報発信ツールとして重要視している。

 西川さんは自身のマニフェスト(政策公約)の浸透にHPを使う。要約版のA4判一枚のビラを演説会などで配る一方、HPには二十九ページにわたるマニフェストの全文を紹介。ビラにはHP検索を呼び掛ける記載もあり、興味のある分野の詳細な政策を閲覧してもらえるようにした。

 ただ、両者とも電子メールを使った運動はしていない。事前に送信希望者を募らないといけない上、一般の人たちの間での転送も禁止されるため、両陣営は「考えていない」「手間もかかるし、メリットが見えにくい」などとしている。

 一方、選挙公報がなく選挙運動用ビラも配れない県議選。「有権者から『投票の判断材料がない』という声がある」(県選管)といい、それを補完するためにも候補者の考えを発信する手段としてHPなどは有効。しかし、県選管にHPなどを届け出た候補者(無投票選挙区除く)は三十四人のうち二十二人にとどまり、演説の動画などを投稿する候補者はさらに限られる。

 ある陣営では、日々の活動を写真付きでSNSで紹介しているが「動画までは投稿しない。どれほど見るのかが分からないし」(関係者)と効果に懐疑的。HPを届け出なかった陣営からは「将来は分からないけれど、現状は従来型の運動でいい」と地縁などを生かした活動を続ける考えを示す。「運動員も高齢化しているしね。(インターネットは)ちょっと」と話す別の関係者もおり、担い手不足も敬遠の理由のようだ。

 (桂知之、北原愛)

知事選候補者のウェブサイトなどのアドレス

(上から届け出順)

金元幸枝さん blog.goo.ne.jp/yukiekanemoto

西川一誠さん www.nishikawa-issei.com