福井

<県議選の各選挙区情勢>(上)

2015年4月8日

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 県議選は告示日の三日に五選挙区で十一人が無投票当選した。七選挙区では激しい選挙戦を繰り広げながら折り返し点を過ぎた。十二日の投開票が迫る中、各選挙区の情勢を三回に分けて紹介する。

◆福井市(一二−13) 現職の地盤に新人挑み混戦

 選挙カーがニアミスしたり、他陣営の事務所前を通り過ぎたりと熱を帯びる福井市。定数一二に、現職八人、新人五人の計十三人が立候補している。ある現職は「領土の奪い合い」と表現。背景に現職の地盤に新人が割って入ろうとする構図がある。

 現職の陣営が「ぽっと出の素人はいない」と言うように、五人の新人はみな引退者の地盤を引き継いでいるか、組織票を持つ候補者。泡沫(ほうまつ)候補のいない少数激戦区となっている。

 各陣営とも「当落ラインはだんご状態の混戦になる」との見方が強い。

 新人二人が近隣地域から出馬した現職の陣営は「もちろん厳しさはあるが、この四年で支援組織を拡大してきた」と現職の強みを最大限に生かす考えだ。既存の地域だけでなく空白となっていた地域にも浸透を見せる。

 一方、現職の地盤から出馬する新人は組織票を持つが「それだけを頼りにするわけにはいかない」と地域への浸透を狙う。陣営は「現職の氏名を書いてきた人を覆すのは簡単じゃない。地道にお願いしていくしかない」と気を引き締める。

◆吉田郡(一−2) 対照的な戦術、松岡地区に鍵

 現職で三期目を目指す鈴木宏紀(56)、元町議で新人の松川正樹(66)の二氏が一議席を争っている。

 鈴木氏は自民党や農業・商工団体のほか、河合永充(ひさみつ)町長や多くの町議の支持を受ける。個人演説会では地方創生を進めるための人脈の必要性を強調。陣営では組織力に加え、永平寺地区で浸透に手応えを感じている。

 松川氏は学習塾経営四十年超の人脈と同級生や地域活動の仲間に支えられて選挙戦を展開。個人演説会はせず、選挙カーと街頭演説で地域づくりと教育への情熱を訴え、陣営では地元の松岡地区以外にも支持の広がりを実感している。

 戦い方は対照的だが、大票田の松岡地区の票の行方が鍵とみられる。

(統一地方選取材班)