福井

<若者と考える一票>(下)候補者の事務所に行ってみました

2015年4月6日

陣営の人(左)から候補者の説明を受ける階明里さん(中)、中村祐斗さん=福井市で

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 入り口にのぼり旗が立ち、候補者の顔写真や氏名が書かれた大きな看板が置かれた選挙事務所。支援者が出入りし、はがきを書いたり、作戦を練ったりと選挙を戦う上での拠点だ。実は誰でも立ち寄ることができる。政策を知りたい有権者にも応える場所でもあるのだが…。若者と訪れてみた。

 二人の知事選候補者の選挙事務所。一人は選挙にお決まりの為書きや推薦状はなく、すっきりとした印象。もう一人は壁に寄せ書きや鶴の折り紙が貼ってあったりにぎやか。「こんにちは」と入ってみると、どちらも陣営の人が「どうぞ、どうぞ」と笑顔でいすを勧めてくれた。

 −どんな印象だった?

 階明里 うーん、一人のほうは殺風景で、活動している感じが伝わらなかった。訴えたいことがあるから立候補したんだよね。私だったら言いたいことや、やりたいことを壁いっぱいに書くけどな。壁に書き切れないっていう情熱があるほうが好きだな。

 −政策は分かった?

 中村祐斗 うーん、政策を書いたビラを渡されるだけでは正直分からない。事務所の人が全部の政策を把握しているわけじゃないみたいだし。

 階 そうだね。ビラは字が細かくて読む気が起きないし、単語の羅列でよく分からない。

 中村 優先順位を絞って「いつまでにこうしますよ」って分かりやすく書いて欲しかった。

 −熱心に説明してくれる人もいたよね。

 階 そうだね。事務所に来ている人も生活や社会をより良くしたいという思いが伝わってくる場面もあった。選挙のためではなく、一県民としてこの選挙に携わってるんだな、と感じた。

 −街頭演説を聴いたり、選挙事務所に来てみてどうだった?

 中村 どうやって選挙運動しているのか初めて知った。でも、誰にでも開かれている感じはしなかった。一部の人だけが盛り上がってる印象。それでは関心の持ちようがない。もっと大学に来て政策を訴えるとか、ビラを配るとかしてほしい。

 階 個人演説会は支持者だけが集まった激励会だし、選挙事務所も入りづらい。でも、県の方向性を決める大事な選挙だって事は分かった。だから今回は選挙に行ってみようと思う。誰に投票しようか悩むな。

 (敬称略)

 <記者あとがき> 「若者の投票率が低い」。政治家も新聞もそう言ってきた。「困ったことだ」との意味を込めて。でも選挙期間中になって急に「投票を」と呼び掛けることに無理を感じた。今の選挙運動は一般の人に向けられていないのではないか。政策本位で選ぶ選挙戦になっていないのではないか。若者が一票を投じたくなる選挙運動、選挙報道にしなければならない。彼らの力を生かすために。

 (塚田真裕・32歳)