政策紹介に触れ合いも知事選ルポ、西川一誠さん
2015年4月6日
支援者とガンバローを三唱する西川一誠さん=福井市内で |
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三日夜。個人演説会場の南越前町東大道の南条地区公民館に到着したときのことだ。番号が振られている下足箱の19番を勧められるも「17は空いてる?」と支援者に聞いた。理由は「ホームラン(を打った敦賀気比高校の松本哲幣(てっぺい)選手の)ナンバーだから」。
春の甲子園での県勢初優勝の喜びは演説にも織り込んだ。「野球も日本一で誇りを持たなくてはならない。皆さんの努力が福井の元気の証しになる」。訴えの中心には常に「ふるさと福井」への熱い思い。「東京一極集中などを粘り強く解決する努力をしたい」
四日は朝から福井市美山地区を選挙カーで巡った。後援会の呼び掛けで各集落で住民たちが集まる。その輪の中に飛び込んでマイクを握った。どうしても頭をよぎるのは十一年前の福井豪雨だ。甚大な被害を受けた地域だけに「皆さんの安全と安心を守るのが西川の政治です」。口調は自然と熱を帯び、住民たちとの「ガンバロー」の三唱にも力がこもっていく。
五十キロ、六十キロ…。延々と山間部の集落を巡っていく。集まってくるのは大半が高齢者だ。一人のお年寄りが自虐的につぶやく。「限界集落だわ」。若者の姿が見えないことは本人も気に掛かる様子。「お子さんたちはどうしてるの?」。マニフェスト(政策公約)の「福井ふるさと元気宣言」の内容をかいつまんで紹介する際には「人口減少などの課題はありますが、お役に立てるように頑張ります」と宣言していた。
時折「ここら辺はコメ以外は作るの」などと話し掛け、政策の浸透だけでなく有権者との触れ合いにも心を砕く。その際には、「道路を何とかしてくれ」などといった要望を直接訴えられる場面も多い。当選したら、そういった“生の声”は、しっかり施策に生かすつもりだ。
「頑張って」。励ましの言葉がお年寄りから飛んだ。言葉は返さなかったが、代わりに言葉を掛けてくれた人に向かって、両手のこぶしをグッと前に突き出した。「任せてくれ」とポーズで示し、選挙カーに飛び乗った。
(桂知之)