福井

<幸福度を問う>(3)「女性が活躍」本当に?

2015年4月5日

職業紹介コーナーには育児中の女性が多く訪れる=福井市の女性活躍支援センターで

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 乳児を抱いた女性が次々に就職やキャリアアップの相談に訪れる。福井市下六条町の県生活学習館(ユー・アイふくい)内にあるふくい女性活躍支援センター。今年三月から始めた職業紹介が好評で相談件数は前年同期比で三倍増となった。

 開設は二〇〇七年。一二年からはお茶の水女子大と連携し、キャリアアップ講座も始めた。「福井は国が女性活用を言いだすずっと前から女性の潜在能力を引き出す施策を展開している」。県男女参画・県民活動課の江端美喜子課長はそう胸を張る。

 「2014年版 全47都道府県幸福度ランキング」で福井県は女性の労働力人口比率は52・2%で一位。待機児童率もゼロで一位。三世代同居率も高く「子育てがしやすく、女性が働き続けられる環境」と評価される。

 ただ、現場の意識は少し違う。センターを運営するふくい女性財団の坪田達雄専務理事は「ランキングは比較論の話。相談に来る人のほとんどは親と別居だし、困ったり悩んだりしている」と指摘する。

 相談で最も多いのが再就職。中身は求職にとどまらない。相談員の松岡幸代さんは「一定期間内に就職が決まらないと、子どもが保育園や幼稚園を追い出される。じっくり考えて再就職するには短いという声はよく聞きます」と一例を挙げる。

 福井市の場合、女性が就職活動をしながら幼稚園や保育園に子どもを預けられるのは最長で九十日間。国が定めた上限とはいえ、子どもを預けられなくなれば、就活の継続は極めて困難になる。また、年度途中で育休が明けた場合、次の年度まで入園できないケースも多いという。

 企業の環境整備も課題。県内には一万以上の事業所があるが、県が登録を呼び掛ける女性活躍支援企業は百三十五社にとどまる。二〇一〇年の国勢調査では管理職に占める女性の割合は11・73%で全国四十一位。〇五年の最下位からは脱出したが、依然として低い水準にある。

 (高橋雅人)