福井

<若者と考える一票>(上)候補者のお話、聴いてみました

2015年4月5日

 昨年12月の衆院選の20代の投票率は32.08%。自分とは関係ない、誰に入れても同じでしょ−。数字からはそんな声が聞こえてくる。一方で街の中は選挙カーから候補者の氏名が響き、各陣営はお祭り騒ぎだ。「政治に興味はない」という若者は今の選挙運動をどう見ているんだろうか。企画に賛同してくれた階明里さん(26)と中村祐斗さん(20)とともに知事選候補者の個人演説会や選挙事務所に行ってみた。

 高浜町にある昔ながらの住宅街。細い道を抜けた駐車場での街頭演説を十分間、候補者の目の前で聴いてみた。

 −どんな印象を受けた。

 階明里 しゃべるのが上手で、分かりやすかった。でも、自分の体験を交えて話さないのは何でだろう。そっちのほうが説得力あるのに。

 中村祐斗 確かに。あと「原発駄目、戦争駄目」と否定的な言葉が多かった。もっとポジティブな言葉を使ったほうがいい。

 階 そうだね。雰囲気だってそう。衣装にこだわるとか、さわやかな若い人がいるとか。もうちょっと華やかさやがあってもいいんじゃない。

 −「全ての原発を廃炉に」と言っていたけど。

 階 もちろん、原発はないほうがいいけど、原発による財源も大きいでしょ。

 中村 原発に変わる代替案があると良かった。

 −戦争にも言及してた。

 階 仕事柄、お年寄りから戦争体験を聞くことが多い。戦争はいやだという思いには共感した。

 あわら市のJA花咲ふくいで行われた別の候補者の個人演説会にも行ってみた。十八分間、じっくり耳を傾けた。

 −訴えは伝わった?

 階 うーん、もっと夢を、思いを語ってよ、って思った。マニフェストを読み上げるだけなら聴きに来た意味がない。

 中村 僕は県内の人を大事にしようという思いは伝わってきた。地元企業を大切にしようとか、Uターンを前面に押し出していこうとか。

 階 でも、訴える政策が細かすぎて、こういう福井にしたいというビジョンが見えてこなかった。

 −雰囲気はどうだった?

 中村 異様な雰囲気。みんな同じ色のたすきをしてみんなでガンバロー三唱…。正直、ついて行けない。

 階 アウェー感が半端なかった。誰に投票しようか考えている人が行く所じゃないと思った。支援者しか来てはいけないという感じ。もっと開放的ならいいのに。

 中村 大体、演説会がいつ、どこで開かれてるか知らない。大学でビラを配ったり、貼ってくれてもいいんじゃないか。

 −本人を見てみることは意味あった?

 中村 話し方から何となく人柄は分かるような気がした。テレビではうまく編集されているし、新聞でもうまくまとめて書いてあるし。

 階 うん、紙っぺらを見るより、表情とか、声とかから人柄がにじみ出るよね。ちょっとは政治との距離が近くなるかな。

 (塚田真裕)