福井

<県議選 注目区を行く>(下)激戦必至、早くも火花

2015年4月2日

写真

 青、緑、ピンク…と各陣営の支持を表すのぼり旗がゆらめく越前市今立郡南条郡選挙区。「旗が勢力図を表しているかのようだな」。現職の陣営幹部が冗談めかした。定数五に対し、現職三人、新人三人、元職一人の計七人が出馬の意向を表明。組織票を固める四人に対し、三人が草の根の活動を展開する構図だ。

 自民現職の事務所。壁に貼りきれない推薦書や為書きが天井にまでびっしり。区長や団体など百十八の推薦を取り付け、貫禄を見せる。仕事の合間に事務所を訪れる人も多い。「当選回数を考えると、まあ当然やな」。陣営は活気づく。

 一月下旬に出馬表明した民主新人は「出遅れは否めない」と認め、組織固めを急ぐ。親戚や同級生もいない。だがそれをカバーするのが、支持団体労組の一体感だ。昨年の衆院選に出馬し、盛り上がりを見せた。連合福井幹部は「四カ月前の雰囲気は残っている。六千五百人いる組合員をどこまで固められるかだ」と腕をまくる。

写真

 組織を持たずに戦う無所属現職はまんべんなく地域を歩く。陣営が「組織を持たない危機感は本人が一番認識してる」と言うとおり、この四年間で県政報告会を四十回以上開き、昨秋から毎朝の街頭演説も続けている。

 二人の新人も草の根の活動を展開。一人は一年以上前から、選挙区内二万二千戸を訪ね反原発や議員手当の削減を訴えてきた。だが、現職と比べると事務所は少し寂しい。「現職の顔色を気にして行けないけど、気持ちでは応援してるから」。そんな声を何度も掛けられたという。それでも、一軒一軒回ってみると「『原発を何とかして』との声が意外に多い」と手応えを実感している。

 県内で唯一、二人が落選する激戦区。いよいよ、その熱戦の幕が開く。

 (塚田真裕)