福井

<県議選 注目区を行く>(中)吹かぬ風に嘆きの声

2015年4月1日

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 ともに五期目を目指す山岸猛夫さん、山田庄司さんが立候補を予定する大野市選挙区。ほかに立候補の動きはなく、四年前と同じく無投票になる公算が大きい。

 「他に出る人はおらんやろ」。昨年末からささやかれた。現職二人がそれぞれ五選出馬の意思を固める中、県議への意欲を持っているとされる市議は二月の市議選出馬を決め“無風”の雰囲気が強まっていた。

 市幹部は「二人とも後援会組織がしっかりしている。新人では対抗できないだろう」と話す。三つどもえとなった前々回(二〇〇七年四月)の選挙では現職二人が若い新人の挑戦をはね返した。「激しい選挙戦だったからその反動も尾を引いている」とみる。

 ただ以前の大野市内の県議選は、欠かさず選挙戦になっていた。投票日の前日には各陣営のお練りが繰り広げられ、市民にとって四年に一度の「アミューズメント」(市幹部)だったという。

 市内では昨年六月の市長選、今年二月の市議選も無投票だった。市議の一人は「従来ほど地域の人の支えが得られなかった」と選挙準備を振り返る。

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 ある男性経営者(51)も「良い人材であれば、新人を担ぎ上げようという動きがあってもいいのに。政治に対して市民が熱くなれなくなっている」と嘆く。

 無投票は当選する政治家にとってもプラスにならない。得票数の多少は「政治力」として評価されるし、後援会の結束力も戦うことで強まる。現職の一人は三月下旬の事務所開きで「四年前に続き、他に名前が挙がっていない。時代背景が様変わりしてきたのかな」と苦い表情を見せた。

 県議選は県内十二選挙区のうち、大野市に加え、坂井市(定数四)、勝山市(同一)、鯖江市(同三)、大飯郡(同一)の計五選挙区でも無投票となる可能性が出ている。前回の無投票は三選挙区だった。

(尾嶋隆宏)