福井

<県議選 注目区を行く>(上)市長選絡み思惑交錯

2015年3月31日

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 県議選の告示まで三日。県内十二選挙区(定数三七)に二十九日現在、現職二十九人、新人十四人、元職二人の計四十五人が立候補の意向を示している。各選挙区とも事情はさまざま。激しくしのぎを削る選挙区もあれば、無風の選挙区もある。注目される選挙区の直前の状況を三回にわたって追った。

 あわら市選挙区としては初の選挙戦となる見通しだ。金津地区出身で県議会で議長経験のある現職笹岡一彦さんと、芦原地区出身の新人で旧町議やあわら市議を長年務め、任期を二年以上残して立候補した元市議の東川継央さんの一騎打ちとなる公算が大きい。

 北陸新幹線金沢開業を機に、北の玄関口となる、あわら市の観光発展、工業の振興、農業の充実など二人の候補者が掲げる活動方針に大きな相違はない。

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 笹岡さん陣営は「北陸新幹線の県内延伸をひかえ、これからの四年間は大事。県、国とのパイプ役をなくすわけにはいかない」と力説する。その上で県議会での活動実績を前面に、JAなど各種団体の協力により、組織的に票の獲得を目指す。市全域で票固めに努力するが、あいさつ回りで感じたという芦原地区での反応の厳しさをどう克服していくかが課題となりそうだ。

 一方、東川さん陣営は「知名度でも金津地区の票も現職が有利でこちらの苦戦は目に見えている。ただ、広く支援の言葉をかけてもらっており、地元で議員を続けてきた実績や農業に強いことなどを地道にアピールしていくしかない」と話す。「市議経験者を県政に」との思いで支援する市議仲間の後押しがどこまで票に結び付くか注目される。

 争点がなく、盛り上がりに欠ける感がある一方で、市民には「二〇〇七年の中学校統合問題で行われた市長選の結果が市民の間で複雑に絡み合っている」との見方もある。統合派と二校存続派に分かれて行われた当時の市長選が結果的に地区別を際立たせてしまい、今もそのしこりが一部で残っているという。

 「県議選の結果次第で、市民は市長選で地域的なバランスをとるのでは」との予測もある。後半戦の市長選も視野に、思惑が絡み合う選挙戦が展開されそうだ。

(本田優子)