福井

<知事選政策アンケート>(上)

2015年3月30日

 知事選も告示から五日目を迎え、立候補している共産新人の金元幸枝さん(57)と、無所属現職の西川一誠さん(70)=自民、民主両県連、公明県本部推薦=の舌戦も佳境に入っている。二人が真っ向から意見を戦わせる原子力政策をはじめ、近年クローズアップされてきた人口減少対策など、さまざまな政治課題に対する両者の考えを三回に分けて紹介する。

(上から届け出順)

◆金元幸枝さん(57)=共新

Q1 原発の再稼働など、原子力の今後への考えは?

 原発の再稼働には絶対に反対。原発は今、一つも動いていないが、電力不足は起きていない。東京電力福島第一原発事故で、万が一の危険が現実に起きることを体験した結果、国民の多くが再稼働に反対している。新規制基準に合格しても、「安全を保証するものではない」と原子力規制委員会自身が言っているように、安全な原発などない。県として「原発ゼロ」の政治的な決断をして、「原発のない新しい福井」を目指し、実現する。

Q2 原子力防災にどう取り組む?

 原発を動かさずに廃炉するのが、最大の防災対策だ。原子力規制委員会の新規制基準を、安倍首相は「世界で最も厳しい基準」と言うが、住民避難計画が規制委の審査対象外となっている点だけみても、欧米に劣る基準だ。実行可能な住民避難計画を国・電力事業者の責任で作成し、実地訓練を行うことなどを要求する。稼働させずとも、敷地内に現在保管されてる使用済み核燃料も危険なものだ。国・事業者の責任において厳格な管理を求める。

Q3 エネルギーのベストミックスや新エネルギーへの対応は?

 「原発ゼロ」の政治決断を促し、原発のない日本にする。再生可能な自然エネルギーの開発と利用を飛躍的に拡大させていく。太陽光、小水力、風力、波力、地熱やバイオマスなど多様なエネルギーを組み合わせれば供給は安定する。福井を開発や研究の拠点とし、新しい産業と雇用の創出を目指す。電力会社の自然エネルギーの買い取り制限に対して情報公開を請求し、現状を検証して固定価格買取制度の改善を行う必要がある。

◆西川一誠さん(70)=無現

Q1 原発の再稼働など、原子力の今後への考えは?

 原子力の重要性と必要性を国が国民にしっかり説明・説得することが大前提です。再稼働についてはプラントの安全性をハード・ソフトの両面から厳正に確認するなど慎重に対応します。原発の運転と廃炉は一連・一体のものであり、時間のかかる廃炉は運転中と同様、プラントの安全性確保が重要です。長期の安全対策と立地地域の振興を担保する法的措置などを福井から国に提案し、国の責任ある政策の実行を求めていきます。

Q2 原子力防災にどう取り組む?

 県・国・電力事業者連携による原子力災害制圧道路を早期に完成します。

 国・事業者・市町とともに、PAZ(発電所から五キロ圏内)およびUPZ(発電所から五〜三十キロ圏内)地域の防災対策を継続強化します。

 さらに、自衛隊などの実動部隊・展開基盤の強化を国に要請するとともに、関係機関との連携を密に、原子力総合防災訓練を強化します。

Q3 エネルギーのベストミックスや新エネルギーへの対応は?

 原子力の安全確保と自律的・持続的な地域の発展を実現するため、エネルギー・ミックスなど国の責任ある原子力・エネルギー政策の実行を求めていきます。

 温室効果ガスの削減に効果のある再生可能エネルギーについては、地産地消や地域おこし、防災力強化の観点から、県内すべての市町で導入を進め、さらに県内の優れた取り組みについて、その普及を図っていきます。

(北原愛、桂知之)