福井

知事選候補者の横顔 

2015年3月29日

 26日に告示された知事選。立候補した共産新人の金元幸枝さん(57)と、現職で無所属の西川一誠さん(70)=自民、民主両県連、公明県本部推薦=が、4月12日の投開票に向け、舌戦を繰り広げている。硬い話が中心の街頭演説や個人演説会だけではなかなか見えてこない“普段着”の2人を紹介する。 =上から届け出順

◆金元幸枝さん=共新

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 「どっちが得かな」。近所のスーパーで肉や魚のパックを手に、頭の中でそろばんをはじく。消費税率が8%になって「節約、節約」と唱える回数が増えた。普段は共産党県委員会の仕事をこなしつつ、六人家族の家計を守る主婦だ。

 入党は大学生時代。「命懸けで戦争に反対した高い志の党というイメージ」だった。「そんな立派な人間じゃないし、皆さんの後ろについて行こうと思っていた」が、三十一歳の時に衆院選への立候補を打診され、迷った末に決意。昨年十二月の衆院選で立候補は連続九回に達した。「決めたら一生懸命やる」。筋を通さないと気が済まないたちだ。

 古くからの支援者たちは「人情に厚い頑張り屋。赤旗記者時代から弱い者の立場に立って(政治に)怒ったり泣いたりしていた」と話す。市民の声は、今も変わらない原動力。衆院選への初挑戦から四半世紀、毎週月曜日の街頭活動を欠かさない。

 “全力投球”の日々の息抜きは、愛犬タロウとの散歩とフェイスブックへの投稿。「帰りが遅くても、尻尾を振って出迎えてくれる」。演説中のきりりとした顔とは違う、柔和な笑みを浮かべる。

 (北原愛)

◆西川一誠さん=無現

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 地方創生が叫ばれる時代が到来する中で「県の政策は間違った方向ではなかった」。ふるさと納税など地方重視の政策を国に提案して実現させてきた「先駆者」としての自負がにじむ。

 今回のマニフェスト(政策公約)は「福井ふるさと元気宣言」。政策などで多用してきた「ふるさと」の文言をタイトルに初めて採用した。幸福度日本一の金看板も手に入れた今。「大都市にエネルギーがあるとは思えない。地方にある」と国を地方からリードする姿勢をますます強める。

 近年、ラジオで英会話番組に耳を傾ける。理由は「自らを実験台としているから」。子どもの英語力を伸ばすのにどんな課題があるのかを、身をもって確かめているのだとか。テレビなどを見ていても「政策のひらめきにつながる」。職務への意欲が垣間見える。

 公務のない時には家庭菜園で、長いときは半日ほど過ごす。鳥のさえずりを聞きながら、チョウが舞う姿を横目にくわを振るう。日が沈みだすと、瞬き始める星を見上げ「自然に親しめる」のが最高の気晴らし。「五月には夏野菜を植えたい」。当選したら、県政の難題だけでなく、ささやかな楽しみも待つ。

 (桂知之)