福井

<知事選100人アンケート>Q2.新幹線県内延伸、どう思う? 

2015年3月24日

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 県内の有権者百人アンケートで、二〇二二年度末に予定される北陸新幹線の県内延伸に対しては七割が期待感を抱く一方、三割は危機感が大きいと回答。人口流出のほか、並行在来線や関西圏への利便性の悪化を懸念する声が目立った。政財界は早期開業を叫ぶが、誰もが歓迎しているわけではなさそうだ。

 アンケートでは「県内延伸で期待感と危機感のどちらが大きいか」と尋ねた。「期待感」の六十九人に対し、「危機感」は三十人。男女比はいずれも半々で、年代や居住地による差はなかった。

 「期待感」の理由では関東方面への利便性が良くなることと、それに伴う交流人口増大を挙げたのが四十九人と大半を占める。十四日に開業した金沢の盛り上がりを「うらやましい」「悔しい」と表現した人も五人おり、現状への不満が八年後への期待につながっているようだ。

 一方、「危機感」の理由では、並行在来線がJRから経営分離されることへの不安を挙げたのが八人で最多。このうち「(東京へは)米原経由の方が速い。サンダーバードがどうなるか心配」と答えた敦賀市の主婦(48)のように、嶺南を中心に五人が関西方面への特急に言及した。

 政府・与党は一月、県の要望に応える形で、金沢−敦賀間の開業を二五年度から二二年度に三年早めることを正式決定した。二〇年度の福井先行開業も与党内で議論が始まり、県は用地取得に全力で取り組む姿勢を示している。

 こうした県に注文を付ける意見は歓迎派と懸念派双方に。坂井市の会社員男性(55)は「福井の魅力をしっかり発信すれば、必ず観光客は来る」と期待。一方で鯖江市の会社員男性(28)は「新幹線が来れば安泰みたいな空気が広がっている」と警鐘を鳴らし、福井市の飲食業男性(56)は「県職員に観光のプロがおらず、戦略がない。現状では延伸しても観光客の滞在が見込めない」と手厳しかった。

 新知事には並行在来線問題などに対する有権者の懸念を払拭(ふっしょく)するとともに、県外から人を呼び込む観光戦略が求められる。

 <アンケートの実施概要> 3月中旬から下旬にかけて記者20人が面談や電話で行った。対象は男女別で各50人。年代別では20代、30代、40代、50代、60代以上で各20人。地区別では▽福井37▽坂井15▽奥越13▽丹南14▽嶺南21。