福井

<激突 知事選>(下)人口減

2015年3月21日

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 民間の研究機関「日本創成会議」が昨年五月に公表した「消滅自治体リスト」。県内九市町を含む全国の自治体の半数で、二十〜三十代の女性が三十年間で半減するとの試算結果は自治体に衝撃を与えた。二〇一二年には県人口が八十万人を割り込み、危機感は高まる。

 県は人口減少対策を柱とする一四年度二月補正と一五年度当初の一体予算を編成。西川一誠氏は「待機児童ゼロなどの全国トップクラスの環境やU・Iターン、若者の仕事創出などを強化したい」と各種対策案を盛り込んだ。

 県は二〇一〇年度から結婚を仲立ちする「縁結びさん」制度を開始。地域だけでなく、職場にも縁結びさんを拡大した。

 子育て支援では〇六年度から三人目以降の子どもの保育料を一部無償化するなど「ふくい三人っ子応援プロジェクト」を実施。四月からは無償化を三歳未満から就学前までに拡大する。一人の女性が産む子どもの平均数は、一三年では全国八位と上位を保っている。

 一方、金元幸枝氏が強調するのは雇用の安定。「若い人の雇用がこんなに不安定では安心して結婚、子育てはできない」と増加する非正規雇用の是正に努める考えだ。直近の総務省の就業構造基本調査で、県内の雇用者に占める非正規の職員・従業員の割合は〇七年に29・9%だったのが、一二年には32・7%へ増加。金元氏は「労働者派遣法の改悪は許さず、原則として正社員とすることを打ち出したい」と語る。

 子育て支援については高校卒業まで医療費の窓口無料化を提案する。奨学金についても「借りても返せないケースが増えている」として給付型の奨学金の拡充にも取り組む意向を示している。

 また、女性の県外流出をいかに防ぐかも喫緊の課題だ。県政策推進課によると、現在三十五〜三十九歳の世代はUターン率が約四割あったのに対し、二十五〜二十九歳の世代では約二割。西川知事は「大都市に出る女性の気持ちや生活など社会学的、行動学的に調査し、対応する必要がある」として、県は首都圏に住む県出身の女性への聞き取り調査を実施している。

 立候補すれば、知事選初の女性候補者となる金元氏。「女性だということにまつわる差別は絶対に許したくない。女性が子を産み育てることは当たり前のこと。ハンディを負うべきでない」と労働分野での改善を訴える。

 (この企画は西尾述志、桂知之、塚田真裕、北原愛が担当しました)