福井

<激突 知事選>(中)新幹線

2015年3月20日

北陸新幹線で走る新型車両。2022年度の敦賀開業が決まり、さらに福井先行開業も検討されている=金沢市のJR金沢駅で(2月5日の試乗会)

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 北陸新幹線の金沢開業が迫っていた一月。新幹線の県内延伸実現を推進してきた県内関係者に朗報が届いた。政府・与党が金沢−敦賀間の開業を二〇二五年度から二二年度まで三年早めることを正式に申し合わせたのだった。

 西川一誠氏は一二年夏の金沢−敦賀間着工のころから「できるだけ早く工事が完了し、皆さんが利用できることが大切」と話し、前倒しを主張し始めた。その後、与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム(PT)などに対し、県は「少なくとも三年の前倒しが可能」との独自試算も提示。PTの議論もそうした提案をベースに進み、思惑通りに工期短縮が決まった。

 ただ、西川氏は前倒し決定に際し「大きな成果」とのコメントを発表したが、「一日でも早い開業に向け、引き続き努力を重ねる」とも。県議会の二月定例会の提案理由説明では早期の用地取得に全力を尽くすと表明し、三月から用地交渉を担当する職員を増やし、一五年度からは市町の派遣も含めて一層増強する方針を示した。

 北陸経済連合会の試算では敦賀開業により年間約八百億円の経済波及効果があるとしている。福井先行開業については、政府・与党の議論を見守る姿勢の西川氏だが「可能なことは全力でやっていただきたい。われわれもそれに協力する」とも。整備効果を生かすための早期延伸を望む姿勢には変わりはない。

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 それに対し、金元幸枝氏は「自分が聞く中でも『新幹線はいらない』との声が年々増えている」と指摘。「県は前倒しで県の持ち出しが減ることが良いことのように言うが(減ったところで)そのお金は誰が出すのか」と強調する。

 現時点で見込まれる県内区間の総事業費は約七千八百億円。三年前倒しによる財源見直しで、JRから支払われる施設使用料(貸付料)の投入額が増えることが決まり、地方負担分の割合が減少。交付税措置後の県の実質負担額は従来の約八百億円から約六百億円に減る見通しという。しかし、金元氏は「要らないものに使っていただきたくない。見直しをかけるべきだ」と切り捨てる。

 その主張は公共事業の在り方にも及ぶ。「新しいものを今造っている場合ではない」として「見直しをかけて地域循環型の身近な公共事業、老朽化したものの補修などを考えた計画に緊急に改めることを検討したい」と話す。