名匠狂言会

演目・解説

©森田拾史郎

名古屋 和泉流懐中聟かいちゅうむこ

  •   野村 又三郎
  •   佐藤 友彦
    太郎冠者 鹿島 俊裕
    教え手  井上 松次郎
  • 後見  松田 髙義

 今日は聟入りの日。世間知らずの聟は、物知りのもとへ聟入りの作法を尋ねに行く。からかってやろうと思った教え手は、盃事のあとに出された物を懐中すればよいと教える。聟が舅の家を訪ね、盃事がすむと、引き出物として弓が出される。聟はいろいろと苦心し、左右の袖口に通して懐中するが…。

 かかしのような不自由な恰好で舞を舞わねばならない。そのおかしさが笑いを誘う。

東京 和泉流合柿あわせがき

  • 柿売り 野村 万作〈人間国宝〉
  • 参詣人 野村 萬斎
    参詣人 深田 博治
    参詣人 高野 和憲
    参詣人 福田 成生
    参詣人 飯田 豪
  • 後見  野村 信朗

 柿売りが神事の市へ店を出し、客を待っている。そこへ参詣人たちが通りかかる。柿売りが風味のよい合わせ柿だというが、食べてみた客は渋いという。それでも柿売りは甘いと主張して自ら食べ、目を白黒させながらも甘いと言い張る。そこで口笛を吹かせてみると…。

 「合わせ柿」とは、渋を抜いて甘くした柿のことを言う。柿尽くしの謡も聞きどころである。

©桂秀也

京都 大蔵流鎌腹かまばら

  • 太郎  茂山 千五郎
  • 女房  茂山 逸平
    仲裁人 茂山七五三〈人間国宝〉
  • 後見  鈴木 実   
    後見  山下 守之

 鎌付きの棒を振り上げた妻が、逃げる夫の太郎を追い、それを止める仲裁人が登場する。夫が山へ薪を切りに行かないからだというので、仲裁人は二人をなだめ、妻とともに帰って行く。残された太郎は、このような仕打ちに合うよりは鎌で腹を切って死のうと決意し、いろいろと試みるがことごとく成就しない。

 百姓らしく鎌で自殺しようとする太郎の一人舞台。その臆病ぶりの演技が見どころ。

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