演目・解説

京都 大蔵流

末広かりすえひろがり

果報者茂山七五三
太郎冠者茂山千五郎
すっぱ茂山 逸平
後見井口 竜也
都に行って末広がりを買い求めてくるよう主人に命じられた太郎冠者。ところが、末広がりがどのような物か知らないので、行商のまねをして呼び歩く。そこへ現れたすっぱ(詐欺師)が傘を持ち出し、末広がりだと称して売りつける。主人の好みの条件にもことごとく合わせるので高値で買って帰るが…。
めでたい脇狂言の代表曲。主人が機嫌をなおす囃子物には春日信仰がうかがえる。

東京 和泉流

樋の酒ひのさけ

太郎冠者野村 万作
 主 野村 裕基
次郎冠者野村 萬斎
後見中村 修一
主人は太郎冠者に米蔵を預け、次郎冠者には酒蔵を預けて外出する。やがて次郎冠者はさびしさまぎれに蔵の酒を飲み始める。太郎冠者がそれを見てうらやましがるので、酒蔵から米蔵に樋を掛け渡して酒をつぎ、飲ませてやる。それがもどかしくなった太郎冠者は酒蔵へ行き、二人一緒の酒宴となって…。
本舞台から橋がかりへ、シテ柱越しに樋を渡して酒をつぐという奇抜な演出が面白い。

名古屋 和泉流

茶壷ちゃつぼ

すっぱ佐藤 友彦
中国の者井上松次郎
目代野村又三郎
後見鹿島 俊裕
酒に酔った使いの者が、背負った茶壺の連尺を片方はずして路上で寝てしまう。そこへ通りかかったすっぱが、はずした連尺に肩を入れて横になる。目を覚ました使いの者とすっぱが、茶壺は自分の物だと言い争う。仲裁に入った目代に使いの者が事情を話すと、立ち聞きしたすっぱも同様に答えるので…。
二人同時に謡い舞うように命じられたすっぱが、たどたどしく舞う演技が見どころ。

各流派のご紹介

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