統一地方選2019

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<わが街の課題> (2)彦根市 大久保市長と議会の対立

2019年4月13日

定例会最終日で不信任案が提出され、険しい表情を浮かべる大久保市長(手前)=彦根市役所で

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 三月二十日の彦根市議会定例会最終日。議場中央の演台に置かれた投票箱を大久保貴市長は険しい表情でじっと見つめていた。

 市長に対する不信任案が自民系最大会派の公政会から提出されたこの日。悪化する市長と市議会の関係を象徴するかのように次々と賛成票が投じられた。可決に必要な十八人の賛成に一票差で届かなかったことを確認した大久保市長は一瞬笑顔を浮かべた後、立ち上がり深々と頭を下げた。

 二期目となる大久保市長と市議会の関係は、ここ一年半で急激に冷え込んだ。始まりは、市庁舎耐震化工事で当初の設計から間引き工事をする違法な契約を議会の承認なく業者と結んでいた「裏合意」問題だった。市議会は、調査のための特別委(百条委)を設置し、大久保市長も証人の一人として喚問した。だがあらゆる質問に「知らなかった」と答えたことで、トップとしての資質や統治能力を問われる事態となった。

 耐震化工事は大幅な遅れが生じ、当初予定していた事業費よりも二十億円以上上回る見通しだ。また二〇二四年国民スポーツ大会に向けた新市民体育センター建設でも、当初の計画から二十億円近く上回ることが分かっている。いずれも議会の議決を得た後に市から明らかにされたため、市議からは「だまされた」と根強い不信感が残る。

 こうした背景から二〇一九年度新年度予算案を巡り、対立が決定的になった。市の財政状況は相次ぐ大型事業により、五年で百五十億円の累積赤字が出ると試算されており厳しい見通しが続く。市は財政再建を狙い八十七事業で十一億七千万円の歳出減をもくろんだ。だが予算案では、大型事業には一切手を付けず、花火大会や中学校舎の改修延期など市民生活に直結する事業も削ったため、市議会が猛反発し、否決した。人件費など義務的な経費を盛った暫定予算が成立しているものの、本予算が成立しないまま新年度を迎えるのは極めて異例だ。

 難しい議会運営を迫られている大久保市政に市議たちはどう対応するのか。定数二四のうち、十人が引退などで空席となる見通しで、新人議員の台頭が予想されている。市政は重要な局面を迎えているだけに市議一人一人の価値観が問われそうだ。

(大橋貴史)

◆立候補予定者、市政「評価する」現職ゼロ

 中日新聞社は、彦根市議選(定数二四)に立候補を予定している候補者二十六人にアンケートを実施した。「現在二期目となる大久保市政への評価」「当選後の市長への姿勢や向き合い方」「優先的に解決すべき課題(複数回答可)」の三項目を尋ねた。

 大久保市政への評価では出馬を予定している現職十四人のうち、八人が「評価しない」と回答。残り六人も「部分的に評価する」と答え、「評価する」はゼロだった。新人十二人も「評価する」「部分的に評価する」が計三人だったのに対し、「評価しない」は九人だった。主な理由(自由記述)としては「重要な局面で判断ミスが多い」「内部統制が不十分」といった意見が相次いだ。当選後の市長への姿勢では、現職新人ともに「是々非々」が最も多い約七割を占め「厳しく対峙(たいじ)する」や「協力して課題解決」を大幅に上回った。

 優先的に解決すべき課題では「市の財政状況」「子ども若者支援」「教育環境の改善」を訴える人が多かった。

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統一地方選の日程

前半戦
知事 告示3/21(木)
政令指定市 市長 告示3/24(日)
県議 告示3/29(金)
政令指定市 市議 告示
投開票4/7(日)
後半戦
一般市長、一般市議 告示4/14(日)
町村長、町村議 告示4/16(火)
投開票4/21(日)
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