統一地方選2019

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<わが街の課題> (1)大津市 市民センター再編計画

2019年4月12日

市民センターの再編計画に反対する署名の受け取りを市側に拒否され、持ち帰る市内3学区の代表者ら=2018年5月21日、大津市役所で

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 大津市では二年前、市内に三十六カ所ある公民館機能と支所機能を備えた「市民センター」を十カ所に集約する再編計画の素案を市が公表し、市民らから強い反発を受けた。市は今年二月に方針を撤回。全センターに支所機能を残し、一定の「譲歩」と見える方針を打ち出したが、それでも大幅な人員削減などを伴う内容に一部が反発し、問題はくすぶっている。

 問題が注目されたのは昨年五月。市民が集めた再編に反対する一万五千人分の署名の受け取りを、越直美市長の意向で市側が一時拒否。やりとりがマスコミに大きく報じられ、後に市が謝罪する騒ぎになった。

 市の素案では、少子高齢化に対応するコスト削減などのため、証明書発行や料金収納などの支所機能がある市民センターを二〇年四月に十カ所に集約し、公民館機能の運営を住民に委託するとしていた。住民の反発を受け、市は全三十六学区で意見交換会を開催。当時、市が行ったアンケートでは、76%が「現行のままでよい」と回答した。これを受けて、市は今年二月、全支所を二四年度までは存続させた上で、二〇〜二四年度に公民館機能を順次、自治組織に委託するとの案を示した。

 ただ、この案でも二〇年度以降、半数以上の支所で窓口時間を二時間四十五分短縮し、料金収納などを取りやめる。職員は一八年度比で計百十五人削減。支所の職員は一八年度まで一カ所四〜九人だったが、二〇年度以降は支所長含めて専属職員が二人になる支所も出る。人員削減は、市が昨秋に富士通総研に委託して行った業務量調査などに従ったといい、市側は「経費六億四千八百万円を削減できる」と見込む。

(下)証明書などを発行できる市支所がある「市民センター」の一つの、瀬田南市民センター=大津市内で

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 来春の再編に先駆けて、各支所では今月から、次長職十八人、窓口職員二十七人の計四十五人が削減された。ある支所長は「今年は二人減り、来春はもう一人減る。昼の休憩中も窓口対応は必要なので、職員が昼食を食べられない日も出てくる」と漏らした。

 市は電子収納やコンビニでの証明書発行などを広げ、過半数の支所で機能を縮小させる考えだが、市が想定する効果や影響の大きさを、疑問視する市民の声は根強い。中央学区自治連合会の安孫子(あびこ)邦夫会長(71)は「市民の合意なしにセンター職員を減らすのは『市民無視』だ。センターでは、職員らが丁寧に高齢者らの相談に応じている。職員を百十五人も減らした上で『支所を残す』とは名ばかりで、だましに近い」と訴える。市の方針に、市民の代表である市議たちはどう臨むのか。新たな市議を選ぶ選挙が、まもなく始まる。

(作山哲平)

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 統一地方選後半戦の大津、彦根、近江八幡、栗東市議選が十四日、豊郷町長選、同町議補選、日野町議選が十六日に、それぞれ告示される。選挙戦を前に、各自治体が抱える課題を追った。

 

統一地方選の日程

前半戦
知事 告示3/21(木)
政令指定市 市長 告示3/24(日)
県議 告示3/29(金)
政令指定市 市議 告示
投開票4/7(日)
後半戦
一般市長、一般市議 告示4/14(日)
町村長、町村議 告示4/16(火)
投開票4/21(日)
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