<県議選・ご当地の課題> (上)近江鉄道
2019年3月31日
鉄道部門の営業赤字が二十年以上続く近江鉄道(本社・彦根市)を巡り、県が沿線市町などと議論を重ねている。近江鉄道が「鉄道部門の単独経営が将来的に困難になる」と見通しを示し、湖東地域を中心とした五市五町にまたがる全路線の将来像を描く必要があるからだ。県議選彦根市・犬上郡、東近江市・日野町・愛荘町の両選挙区に立候補した計十五人に対し、近江鉄道の進路を尋ねた。
「近江鉄道の経営努力に任せる」を選んだのは今村さんと周防さん。今村さんは「さらに観光客を県内に呼び込み、近江鉄道の利用客を増やそう」と持論を示し、周防さんは「会社に主体性が見られない。努力すべきだ」と指摘した。
「レールや駅舎を沿線市町で管理し、近江鉄道が経営する」を選んだのは江畑さん、奥野さん、本田さん、坂口さん、加藤さんの五人。江畑さんは「鉄道は地域振興の拠点。行政のサポートは強めるべきだ」と主張し、奥野さんや坂口さんは「行政の支援により、企業側に前向きなサービス展開を期待したい」などと答えた。
本田さんは「地域密着の路線。行政の支援は必要だ」と訴え、加藤さんは「当面は財産と経営を分離して維持し、さらに経営が悪化したら、早急に次の一手を練らなければいけない」と回答した。
「レールや駅舎を沿線市町で管理し、別の鉄道会社で経営する」を選んだのは木沢さんと井阪さん。木沢さんは「税を投入する以上、今の経営体制では市民も納得しないのではないか」と説明し、井阪さんも「行政の税投入には限度がある」と答えた。
「第三セクターの別会社をつくって鉄道路線を存続させる」を選んだのは小菅さん。「鉄道は地元にとっては必要不可欠な存在。鉄道会社と自治体が一体になって、経営するのが良い」と持論を示した。
「第三セクターをつくって線路をバス専用レーンに作り替えて経営する」を選んだのは大野さんと村島さん。二人は「電車に比べてバスはコストを抑えることができる。環境に優しいバスも登場している」などと思いを示した。
「その他」を選んだのは細江さん、中沢さん、松本さんの三人。細江さんは「バスを含め地域の公共交通網を根本から見直すべきだ」と答え、松本さんは「国や県からも財政支援を強めて維持させる」と説明した。
中沢さんは「近江鉄道の経営努力とともに、新たな仕組みをつくり、自治体や住民が支える」と回答。「自治体は、住民や企業と連携し『乗りたくなる近江鉄道』をつくっていく必要がある」と持論を示した。
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県議選は四月七日の投開票に向け、無投票だった三選挙区(いずれも定数二)を除く十選挙区の三十八議席を巡り、立候補者五十五人が舌戦を繰り広げている。立候補者は地域のさまざまな課題に、どんなスタンスで臨もうとしているのか。課題を抱える地元の立候補者を対象に、本紙が行ったアンケートの結果を三回に分けて紹介する。
(県議選取材班)