女性候補こう戦った 同性の支持/政党色消す
2019年4月23日
女性議員を増やすことを目指す「候補者男女均等法」の施行後、初めての統一地方選が終わった。女性の声を議会に届けようと挑んだ女性候補者の戦いを振り返る。
県議選と四日市、鈴鹿、鳥羽の三市議選、津市議補選には、計二十六人の女性が名乗りを上げ、十六人が当選した。
四日市市議選(定数三四)では過去最多の六人が当選し、改選前から四人増えた。新人は六人中四人が当選したが、無所属の三人は下位通過と厳しい戦いを強いられた。組織の後ろ盾がない中、地盤を中心に回った候補がいる一方で、福祉施設や女性支援団体を集中的に回って同性の支持を固めた姿もみられた。
無所属新人の後藤純子さんは「有権者から、もっと女性議員を増やして声を届けてほしいという支持があった」と話す。公明新人の森智子さんも「一貫して母親の立場から子育てや介護支援の充実を訴え、同性からの共感が大きかった」と振り返る。
四日市の女性議員はこれまで最も多かった時期で四人だった。三選した公明の荒木美幸さんは「女性が自己主張しやすい時代になり、議員も増えたと思う。将来的には女性議員と市政側との意見交換の場を設け、生活者の現場を知る女性の悩みを救いあげていきたい」と話した。
津市議補選(被選挙数二)は女性が一人当選し、女性議員は県内最多の八人となった。トップ当選した無所属新人の山路小百合さんは、政党色を消すことで幅広い支持を集めた。地域政党の三重民主連合から推薦を受けた女性は、次点で敗れて明暗が分かれた。
県議選(定数五一)には過去最多の十二人の女性が出馬し、現職五人、新人一人の六人が当選した。当選人数は前回から横ばいで、新人は五人が落選した。
新人で唯一当選した桑名市・桑名郡の自民、山本佐知子さんは、閣僚経験者の孫。三年前の参院選に出馬しており、地盤と知名度を生かしてトップ当選した。桑名市・桑名郡は四議席のうち女性が二人を占めた。
共産は、知事選の推薦候補と県議選の公認三候補が全て女性だったが、県議選では津市の現職を含む二人が敗れた。
度会郡と尾鷲市・北牟婁郡では、政党支援を受けない女性がともに男性候補に敗れた。度会郡で千票差の次点となった前川さおりさんは、一部の町長や労働組合の支援を受け、自民、旧民進の支持母体にも食い込んだが、既存政党の壁は厚く「四年後に挑戦していきたい」と話した。
(高島碧、斉藤和音、森耕一)
◆女性議員割合ばらつく 四日市躍進、鈴鹿停滞
女性議員の割合を県内の14市で比べると、今回の改選で変動がみられたが、ばらつきはなお大きい。女性が躍進した四日市市は、最低だった5・9%から、17・6%まで急上昇した。
鈴鹿市では、定数32のうち女性2人が当選した一方、割合は6・3%と最も低くなった。女性市長が3期目に入るが、議員は前々回が4人、前回が3人と減り続けている。
津市は人数で最多だが、割合は23・5%で4番目。改選がなかった名張市、いなべ市がともに27・8%で最も高い。