激戦、候補者も想定外 津市議補選、2議席に8人
2019年4月19日
二十一日投開票の津市議補選は、わずか二議席を八人で争う激戦となっている。全国的に地方議員のなり手がいないといわれ、他県では無投票も続出した中、候補者からは「八人も出馬するなんて想定外だった」と思わず本音も漏れた。
掲示場に八枚の選挙ポスターが並ぶ。無投票で現職のポスターが一枚だけ貼られた隣の市長選の掲示場とは対照的だ。
候補者が乱立した要因の一つは、昨年一月の市議選から、あまり間を置かずに実施されたことにある。八人のうち、四人は市議選にも出馬した。次点で敗れた候補者は「悔しかった。補選に出ず、三年後の選挙を待つ選択肢はなかった」と強調する。
一年余で選挙が続き、金銭的な負担は大きい。選挙活動は家族や友人、知人らがボランティアで手伝っているという。自身も、昨年秋から地盤の地区を中心に一万世帯を訪問し、チラシを配って歩いた。「負けるわけにはいかない。これまでの活動の通知表をもらうつもりで最後まで支持を求めていきたい」と話す。
複数の現職市議が二〇二二年の任期限りで引退を考えていることも背景にありそうだ。
保守系会派の七十代市議は「次の選挙には出ない」と明言する。出馬して当選すれば、任期を終える頃には八十歳近い年齢になる。「若い人と同じ報酬をもらう限り、それだけ活動しないといけないが、年齢を考えると難しい。無責任なことはできない」と理由を語る。
補選のある新人は、現職の席が空く三年後も見据えていると認めつつ「補選で落選することは考えていないが、次の選挙を考えると顔と名前を売っておきたいという思いはある」と話す。
投票率にもよるが、補選は通常の改選時と比べ、当選ラインが高くなる。一一年の補選は二議席を六人で争い、二議席目は約二万一千票での当選。昨年の市議選の最下位当選より約一万九千票多い。
旧民進系会派の若手市議は、候補者が乱立した状況を「偶然にすぎない」と受け止めつつも「有権者の選択肢が多くなるのは良いことだと思う」と選挙の盛り上がりに期待した。
(斉藤和音)