離島の票、獲得図る 鳥羽市議選、本土地盤の候補者も
2019年4月18日
二十一日投開票の鳥羽市議選は中盤戦に入り、市内各地で支持を求める声が響き渡る。離島四島のうち、答志島を除く三島では候補者がおらず、“草刈り場”として本土を地盤とする候補者らも船で訪れ、支持を訴えている。
菅島に十七日午前、市営定期船で遊説に駆けつけた候補は漁港周辺で雑談する高齢者のグループなどに「よろしくお願いします」と声を掛けた。島内で葬儀が営まれることから、スピーカーを使った活動は自粛。葬儀に参列した他の候補者数人もタスキは持参せず、島を早々に離れはしたが、島部を重視する姿勢はしっかりとアピールした。
十三日現在の選挙人名簿登録者数を見ると、市内全域の一万六千三百十二人に対し、候補を出さない三島は合わせて7%弱の千百七人。五百人を切る菅島は、二〇一一年に再選を果たした男性を最後に、二回連続で候補者が立たなかった。人口流出が相次ぎ、島民の票を固めても当選の可能性が低いのも理由の一つとされる。
地縁血縁による票固めが主体の選挙戦だが、定数一四に十五人が立候補する少数激戦。候補者の多くは「候補がいない地域こそ票を得るチャンス」「本土の議員が声を拾う努力をしないといけない」と島部を重視する。漁船をチャーターして巡回し、島部票の取り込みを図る候補もいる。告示日に答志島を回った候補は「地域代表ではなく、市全域に名前を知ってもらいたい」と狙いを話していた。
この日、菅島の漁港にいた男性(80)は「本土に知り合いが多く、離島のことも分かってくれる」と島出身の候補者不在に不満はない。その一方で、「市議会との距離が空いたと感じる」と漏らす自営業手伝いの女性(56)や、「候補者の公約が分からず、知ってる人に投票するしかない」と話す男性(50)もいた。
有権者を千八百人近く抱える答志島からは前回二人が当選し、今回も二人が出馬している。二人は菅島にも足を運んでおり、島の有権者からは「やっぱり離島の人に入れる」との声も上がっていた。
(西山和宏)