鈴鹿市長3選、末松さん「不戦勝」感謝
2019年4月16日
十四日午後五時半すぎ、無投票で三選を決めた末松さんが遊説先から選挙カーで、報告会場のJA鈴鹿駐車場(同市地子町)に登場すると、待ちわびた支援者三百人(主催者発表)が拍手と歓声で迎えた。「お疲れさま」「おめでとう」。雨空の下、喜びの輪が広がった。
二期務めた県議時代を含め、初めての「不戦勝」。壇上でマイクを握ると「(市長としての)二期八年の政策や気持ちがきちんと通じたと感じる」と感謝した。南海トラフ地震に備えた防災対策や超高齢化社会を見据えた公共交通の維持など三期目の課題を挙げ、「信頼と期待を裏切らないよう四年間まい進したい。まだまだ発展する鈴鹿市のため全力を尽くしていく」と力強く語った。
続々と駆け付ける鈴木英敬知事や近隣市町長らに祝福のメッセージを受けた末松さん。雨脚が強まり、ずぶぬれとなったが、お祝いムードは最高潮に。後援会青年部の鮮魚店主から渡された縁起物のマダイと伊勢エビを掲げ、笑顔をはじけさせた。
(片山健生)
<解説> 多選の弊害、脇も警戒を
末松さんが無投票で三選できたのは、乳幼児の医療費の窓口無料化や小中学校の普通教室のエアコン整備など、市民が求める施策を着実に進めてきたことへの評価と言える。大きな失政もなく、対抗馬が立つきっかけを与えなかった。
末松さんの施策には県内他市に先んじて実現した事例も多く、持ち前のフットワークとコミュニケーション能力のたまもの。小規模な会合やイベントにも顔を出し、市民らの思いを酌み取った。職員とも信頼関係を築き、能力をフルに発揮できる環境を与えた。
議会でも卓越したバランス感覚を発揮。自民に軸足を置きつつ、他党・会派へも目配りし、先鋭的な政敵を生じさせなかった。県議時代からの政治経験がなせる技だろう。
三期目に入り、懸念されるのはおごりや緩み、独善といった多選の弊害。自身だけでなく、脇を固める公私のスタッフに対しても警戒する必要がある。安定政権に向かうか否か。分岐点を迎える。
(片山健生)