統一地方選2019

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<県都のゆくえ 津市長選を前に> (中)中心市街地活性化

2019年4月11日

津市中心部の大門大通り商店街。シャッターが下りたままの店舗が目立つ

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 津観音寺と青空がよく見える。津市中心部の大門大通り商店街は昨年六月、老朽化したアーケードが撤去され、がらりと様変わりした。

 「明るい雰囲気になった」と、通りかかった近くに住む女性(72)は変化を歓迎する。もっとも、シャッターの下りた空き店舗が目立ち、人通りはまばら。

 日本三大観音の一つ、津観音寺の門前町として発展し、かつては市の商業の中心地だった。「土日ともなれば、お昼を食べる暇がないくらい忙しかった」。洋装店を営む女性(68)は四十年前のにぎわいを懐かしみながら、「もう過去の話。今の商店街は死んでいくだけ」と嘆く。

 高齢化や後継者不足で、店の減少に歯止めがかからない。昨年十一月に郊外に大型商業施設ができ、客足はさらに遠のいた。年末には洋菓子店と鮮魚店が店を畳んだ。

 市は二十年以上前から商店街の活性化に取り組んできた。空き店舗対策として家賃と改修費の補助制度を導入し、最近では三重大やNPO法人と連携した活性化イベントを開催した。「一時的ににぎわっても、根本的な解決にはつながらない」と、大門大通り商店街振興組合の山田和弘理事長(78)には歯がゆさがある。店舗は大半が持ち主の住居とつながった構造で、表向きはシャッターが閉まっていても住居としては使われているなど、活用するには課題も多い。

 アーケードの撤去後、歩行者天国をやめて車を通す話も組合内で持ち上がっている。三月に実施したアンケートでは、車通行に賛成の店主が多かったものの、意見は分かれている。費用面もあり、簡単には答えが出そうにない。

 名古屋駅から徒歩十五分。昭和の薫りとアーケードを残す円頓寺商店街は、再生の成功例として注目を集めている。

 二〇〇三年ごろまで店舗の半数が閉店し、寂れる一方だった。建築家の男性が空き店舗への入居あっせんなどに取り組んだ結果、今では観光客らが訪れるスポットとして活気を取り戻した。若者向けの店も増えている。

 ここで明治創業の生活雑貨店「松川屋」を営む斉木弘さん(78)によると、空き店舗の活用にはハードルもあった。大門地区と同様、住居と店舗が一体となった物件が多く、「店主が亡くなるなどして変わっていった。再生には時間がかかる」という。

 斉木さんは「活性化はまだ始まったばかり。世代交代は時代の流れで避けては通れないが、商店街が変わるためには受け入れていかないと」と強調する。

 大門が津の顔としてにぎわいを復活させるために、山田理事長は、まちづくりの「特区」に指定することを提案する。飲食店の誘致強化や補助制度の充実、規制緩和などを求めていく。

 「単年度の表面的な施策ではなく、二、三十年後を見据え、行政の手も借りて集中して活性化に取り組む必要がある」

 

統一地方選の日程

前半戦
知事 告示3/21(木)
政令指定市 市長 告示3/24(日)
県議 告示3/29(金)
政令指定市 市議 告示
投開票4/7(日)
後半戦
一般市長、一般市議 告示4/14(日)
町村長、町村議 告示4/16(火)
投開票4/21(日)
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