<県議選立候補予定者アンケート>(上) 議員定数
2019年3月27日
県議会は、二十九日告示の県議選で定数を五一から六減らし、四五にするはずだった。三倍近くなった一票の格差是正を図ったが、昨年三月に削減を取りやめる条例を一票差で可決した。本紙が立候補を予定する六十五人全員にアンケートを実施して定数の在り方を尋ねると、削減派は「一度決めたことを自分たちで中止するのは県民の理解が得られない」と主張し、削減反対派は「南部の議席を減らしすぎで、過疎地の民意を反映できなくなる」と反論する。
■経緯は
定数五一では、最も一票の価値が重い尾鷲市・北牟婁郡選挙区は人口三万四千人で定数二なのに対し、最も軽い亀山市選挙区は人口五万人で定数一。亀山市より人口が少ないのに定数二の「逆転現象」の選挙区が、県南部に五つある。
定数四五は県南部で定数を六減らし、一票の格差が二・九三倍から一・六六倍と改善される。現任期の前の二〇一四年に改正条例が成立したが、周知期間が必要として一五年の前回選では実施せず、今回からの適用を予定していた。
ところが、南部議員だけ減るのを問題視する旧民進系の新政みえや南部の自民議員が主導し、見直しを開始。一六〜一八年に特別委員会で議論したが、賛否は拮抗(きっこう)し物別れに終わった。
それでも一八年二月に南部の議員らが定数五一に戻す条例案を提出し、三月に一票差で可決し定数は五一に戻った。六月には削減派の自民、公明議員が定数四五とする条例案を提出したが、一票差で否決された。
六人の議員削減を取りやめたことで、年間で一億一千万円程度の報酬などが余分にかかるため、県議会では今月、議員報酬一割、政務活動費三割を削減する条例が成立。六人分の支出とほぼ同額を削減した。
■回答は
アンケートでは、県議会の採決で定数四五に投票した現職のうち、二十一人が「議決責任は重い」「格差二倍以内でなければ県民の平等性が保てない」と主張。理想の議員定数の問いでは一人を除く二十人が四五以下を求めた。
一方、定数五一に投票した現職のうち二十一人は、四五案で一人区が多くなることや過疎地の代表が減ることから「多様な民意が反映できない」と主張。十七人は理想の議員数に無回答だった。議員同士の定数議論は党派や地域の利害がからんで混迷したことから「第三者委員会を設けて意見を参考にすべきだ」との指摘が多く、「議員報酬を削減した上で定数は維持を」と求める声もあった。
新人、元職の二十三人は、五一と四五のどちらを選ぶかの問いに、十七人が四五とした。五一は二人にとどまり、格差是正や議会経費の削減を求める声が大半だった。
(森耕一、鈴鹿雄大)