<県議選展望> (上)新政みえと自公が拮抗
2019年3月9日
二十九日告示、四月七日投開票の県議選には、八日までに六十五人が立候補を表明しており、五一議席を争う。十七選挙区のうち、十二で選挙戦になる見通しで、無投票は前回より少ない五選挙区か。焦点は、第一勢力の行方。現在の最大会派で旧民進系の新政みえと、追う自民・公明の国政与党の力は拮抗(きっこう)している。現時点の候補予定者の顔触れを二回に分けて紹介する。
四年前の前回、旧民主系と自民・公明が、ともに二十三議席で並んだが、過半数の二十六には達しなかった。このため、共産など少数会派を多く味方につけた新政みえが四年間議長ポストを握った。
今回の候補予定者の政党は、公認と推薦を合わせると、自民が二十六人、旧民進系が二十五人、共産三人、公明二人、日本維新の会一人。女性は十二人で全体の18%を占める。
前回は南部を中心に八選挙区で無投票だったが、南部での定数削減が取りやめになった影響などで、この地域の無投票が大幅に減りそうな見通し。
前回選挙時にあった民主党は、民進党を経て分裂。県内では国会議員らが地域政党「三重民主連合」を結成した。今回、旧民進系は、民主連合や地域政党「新政みえ」が相互に公認や推薦を出し合う複雑な状況になった。県議会では二〇〇五年から新政みえが第一会派を維持してきたが、国政での野党分裂を受け、かつての「民主王国」を死守できるか正念場になる。
自民は逆に、国政の勢いを持ち込みたい。前回、旧民主系より議席が少なかった桑名、四日市、鈴鹿、伊賀、津で積み増しができるかが鍵になる。公明は二議席の維持、共産は現有の二議席以上を目指す。
(森耕一)
◆立候補予定者
▽桑名市・桑名郡
(定数四−5)
倉本 崇弘43 無現(1)
小島 智子58 無現(2)
三谷 哲央71 三現(6)
山本佐知子51 自新
山本 勝74 自現(5)
現職四人に、三年前の参院選に出馬した山本佐が加わる。いずれの候補も知名度がある屈指の激戦区。さらに、五日の候補予定者事前説明会に、元職の一人が出席した。
▽いなべ市・員弁郡
(定数二−2)
石垣 智矢33 自新
日沖 正信57 三現(5)
自民現職が引退し、東員町議の石垣が後継となる。三回連続の無投票か。
▽三重郡
(定数二−3)
舘 直人63 無現(4)
服部 富男69 自現(4)
牧野かほり49 無新
前回は、自民、旧民主系が分け合い無投票だったが、新政みえの中心メンバーだった舘が、県議会定数減撤回に反発して会派を離脱。牧野が同じ旧民進系で出馬する分裂含み。
▽四日市市
(定数七−8)
石田 成生58 自現(2)
稲垣 昭義46 無元(4)
田中 智也53 みえ現(2)
津田 健児49 自現(4)
藤田 真信47 無新
山内 道明46 公現(1)
山崎 博54 無新
山本 里香60 共現(1)
津市と並んで、最大の選挙区。やはり七議席を八人が争った前回は、自民二、旧民主系三、公明一、共産一。自民系の山崎は前回落選し再挑戦。稲垣は三年前の市長選で敗れ、県議選に戻る。市議の藤田は、旧民進系現職が参院選へ転出することを受け出馬する。自民は三議席を目指し、旧民進系は三議席を、共産は前回四年ぶりに確保した一議席を死守したい。
▽鈴鹿市
(定数四−6)
後藤 光雄62 無新
小林 正人52 自現(3)
下野 幸助42 三現(2)
平畑 武64 無新
藤田 宜三67 無現(3)
森川ヤスエ68 共新
前回は旧民主系が三議席を占めたが、ホンダ労組の組織内候補だった現職が引退。市議の平畑は民間労組系の支援を受ける。自民は市議の後藤を推薦し二議席を目指し、前回は擁立しなかった共産も市議の森川を立てる。
▽亀山市
(定数一−1)
長田 隆尚58 無現(3)
前回は選挙戦だったが、今回は無投票か。長田は自民、旧民進系いずれとも距離をおく戦略が奏功。
▽津市
(定数七−8)
青木 謙順62 自現(4)
今井 智広51 公現(3)
岡野 恵美66 共現(1)
川口 円47 無新
小林 貴虎45 自新
杉本 ゆや65 無現(3)
舟橋 裕幸63 みえ現(6)
前野 和美70 自現(4)
前回は七議席を八人が争い、自民二、旧民主系三、公明一、共産一となった結果も四日市と同じ。旧民進系は議長を務める現職が引退し、市議の川口を擁立。自民も市議の小林を立てて、三議席を目指す。
敬称略、五十音順。党派名の略称は、自=自民、公=公明、共=共産、みえ=新政みえ、三=三重民主連合、無=無所属。